2021 Fiscal Year Annual Research Report
なぜ淡水モクズガニを海水に入れても死なないのか?高次浸透圧調節ホルモンの探索
Project/Area Number |
20K21342
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
大平 剛 神奈川大学, 理学部, 教授 (10361809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 卓 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (20443393)
豊田 賢治 新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 特任助教 (00757370)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 浸透圧調節ホルモン / 甲殻類 / モクズガニ / サイナス腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
淡水で飼育したモクズガニの眼柄(淡水眼柄)と、海水に移してから4時間後のモクズガニの眼柄(海水眼柄)からサイナス腺を摘出し、サイナス腺抽出物を作製した。得られたサイナス腺抽出物を逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)で分離し、それらクロマトグラムを比較した。その結果、海水眼柄で小さくなるピーク産物が観察された。これは、海水に入れたモクズガニが体内浸透圧を急激に調節する必要があるため、眼柄から浸透圧調節ホルモンを血中に分泌したためと考えられる。そのため、このピーク産物がモクズガニの浸透圧調節ホルモンの候補分子と考えられた。そこで、浸透圧調節ホルモン候補分子の生物活性を調べた。浸透圧調節ホルモン候補分子を、両眼柄を切除したモクズガニに注射した後、海水に移した。対照群には生理食塩水を注射した。その結果、浸透圧調節ホルモン候補分子注射群と生理食塩水注射群の浸透圧の変化量に有意な差は観察されなかった。しかし、生理食塩水注射群の浸透圧が上昇していないことから、本研究の実験条件が良くないと考えられた。予備実験として、モクズガニを淡水から海水に移してから24時間後の浸透圧を測定したところ、浸透圧が有意に上昇した。この結果より、モクズガニを海水に移動させてからの時間を4時間よりも長くする必要があると考えられた。また、モクズガニの浸透圧調節ホルモン候補分子は、既知の甲殻類血糖上昇ホルモンとアミノ酸配列がよく似ていたことから、血糖上昇活性も調べてみた。その結果、浸透圧調節ホルモン候補分子注射群で血糖値が有意に上昇した。この結果より、モクズガニ浸透圧調節ホルモン候補分子は血糖上昇ホルモンとして働いている可能性も考えられた。
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Research Products
(1 results)