2023 Fiscal Year Annual Research Report
サクラクローン品種をモデルとした代謝エピゲノムによる樹齢推定
Project/Area Number |
20K21344
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
松本 麻子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90353862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 都 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60415148)
福島 敦史 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80415281)
加藤 珠理 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90467217)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / サクラ属 / クローン品種 |
Outline of Annual Research Achievements |
サクラ栽培品種“染井吉野”を対象に、加齢によって生じるDNAの修飾とそれに伴うメタボロームの変化を捉えることを目的として、エピゲノム解析を行った。北海道、関東、中部、九州の4地点で育成された個体の花組織から抽出したDNAについて、全ゲノムバイサルフェイトシークエンスにより網羅的にDNAのメチル化領域を検出した。 ゲノム全体のDNAメチル化レベルを把握するとともに、異なる環境下でメチル化レベルが変化していた遺伝子群について遺伝子オントロジー(GO) 解析を行ったところ、ゲノム全体のメチル化の割合は 生育地が関東を起点にして南北に移動するほど、mCG・mCHG が増加し、mCHH が減少する傾向にあった。また、メチル化を受けた遺伝子の機能的特徴として、代謝物、ストレス・環境応答に関連する遺伝子群が多かった。同じ環境下で生育した樹齢が異なる個体間では、異なる環境下で生育した個体間で比較した場合ほどのメチル化レベルの違いは検出されなかった。接木等で増殖した“染井吉野”では、生育齢としての樹齢は接ぎ穂を採取した親個体個体よりも幼齢ではあるが、細胞レベルやゲノムレベルでの齢については、メチル化のリセットが生じない限り親の齢を継いでるとも考えられる。サクラクローン品種のエピゲノム情報による樹齢推定に向けては、環境が異なることによるゲノムのメチル化状況の違いが大きいことを踏まえた上で、且つ、挿し木等におけるエピゲノムのリプログラミングの有無とその影響について明らかにする必要があることが示唆された。
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