2020 Fiscal Year Research-status Report
白色腐朽菌を用いたリグニン由来フェノール類高産生技術の確立
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20K21349
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 教授 (70322138)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 白色腐朽菌 / リグニン / 配糖体 / フェノール類 / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 植物由来グルコシルトランスフェラーゼの配糖化能の検討:今回、バニリンに対して配糖化能が報告されているアサガオ及びシロイヌナズナ由来グルコシルトランスフェラーゼ(PNGT1及びUGT73E2)を大腸菌にて異種発現させ、得られたタンパク質の基質特異性を評価した。その結果、rUGT73E2はrPNGT1と比較して、リグニンモノマーに対して幅広い基質特異性を有しており、フェノール性水酸基を特異的に配糖化することが示唆された。よって、UGT73E2遺伝子を白色腐朽菌に導入することにした。 (2) UGT73E2遺伝子導入株の作出:UGT73E2遺伝子高発現プラスミドを構築後、高活性リグニン分解菌Phanerochaete sordida YK-624株に導入し、10株の目的遺伝子導入株(GT株)を得た。これら株のバニリンへの配糖化能を調査した結果、全てのGT株においてバニリンはバニリルアルコールへと還元されており、このバニリルアルコールのフェノール性水酸基へグルコースが配糖化されることが判明した。中でも変換率が24%と高配糖化能を示すGT27株の取得に成功した。 (3) GT27株による木材腐朽時に産生されるリグニン由来フェノール配糖体の検出:GT27株をブナ木粉に接種し、30℃で1週間培養を行った。培養後、培地全体をメタノールで抽出し、メタノール可溶部をHPLC及びGC-MSで分析した。その結果、バニリン及バニリルアルコール配糖体は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
リグニン由来フェノール類を効率的に配糖化する酵素の選抜が終わり、既にGT株の取得にも成功している。さらに、高配糖化能を有するGT27株による実際の木材腐朽時におけるバニリン及バニリルアルコール配糖体の解析まで進んでおり、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の木材腐朽時にリグニン由来フェノール類の配糖体が検出出来ていない。よって、さらに配糖化能を改善すべく、GT27株をベースとして、糖供与体であるUDP-グルコース生合成能を強化した株を育種し、本株によるリグニン由来フェノール類配糖体生成・蓄積の有無を確認する。
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