2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a technology to create a heat sink/heat source in an agricultural house in summer/winter without electricity
Project/Area Number |
20K21353
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
百瀬 年彦 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40742515)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 土 / ヒートパイプ / 地中熱利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
夏期や冬期の農業ハウスは、過酷な温度環境となる。年間を通じて農業生産性を高めるためには、ランニングコストを抑えた冷却・加温技術が求められる。農業ハウスの直下には、未利用エネルギーである地中熱が存在する。この地中熱は、夏は冷熱源、冬は温熱源となり、これを地上に持ってくれば、ハウス冷房・暖房に利用できる。地表-地中間の熱交換を、いかにコストをかけずスムーズに行えるかが重要なポイントとなる。 本研究では、従来型ヒートパイプの弱点を克服した、土のヒートパイプ(特許第6598357号)を利用し、農業ハウス内に電力なしで冷熱源/温熱源を作り出せることを実証する。この目的達成のため、初年度はヒートパイプの製作に、次年度以降は野外実証試験に焦点をあてて研究を進めることとした。 本研究で利用するヒートパイプは、土と作動液の混合物を金属パイプに充填し、減圧密閉したものとなる。土には、これまでの研究を踏まえて石川県農業試験場能登分場の赤黄色土を用い、作動液には、地中の温度範囲を考慮に入れて低沸点液体であるメタノールを用いることとした。 土と作動液の混合比が異なるヒートパイプを複数準備し、それらの熱輸送性能を測定し、熱輸送性能が最大となる混合比を決定した。乾燥土を銅パイプ(3cm径、30㎝長)に充填し、パイプ内を真空にし、そこへ所定量のメタノールを封入することによって、混合比の異なるヒートパイプを製作した。それらの熱輸送性能を測定した結果、飽和度50%程度となる混合比であるときに熱輸送性能が高くなることが明らかとなった。次年度は、この混合比を用いて、大型化したヒートパイプを製作し、実証試験へと移る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおり、土と作動液(メタノール)の混合物を充填したヒートパイプを製作し、その性能試験を室内で行った。この過程のなかで、土と作動液の混合比を任意に変えつつ真空密閉できる装置を開発し、この装置は今後有用になると判断したため特許出願した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画どおり、実証試験を野外で行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究協力者を雇用する予定であったが、コロナ禍の影響があり、雇用するのを控えた。計測機器が耐用年数を超えていたため買い替える予定であったが、十分に機能しているため買い替えを控えた。 研究室の大学院生を研究協力者として雇用し、装置製作やデータ回収、データ解析などを依頼することを計画している。今後は野外実験を行うため、計測機器にとっては過酷な環境となる。このため、速やかに計測機器を買い替え、新規の計測機器で野外実験を行う。
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