遺伝子ノックアウト吸虫作成技術の確立と虫卵孵化のタイミングを司る遺伝子の同定

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K21367
• Research Institution: Gifu University
• Principal Investigator: 高島 康弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20333552)
• Project Period (FY): 2020-07-30 – 2023-03-31
• Keywords: 吸虫 / 孵化

Outline of Annual Research Achievements

環境刺激による虫卵の成長抑制に関し、糞便中への虫卵排出から数回以内の細胞分裂にいたる早期の過程と、運動性のあるミラシジウムが卵殻内で形成される段階において、別の環境刺激が関与していることが明らかになった。とくに本研究で注目する浸透圧刺激に関しては後期に作用しているものと思われたが、ミラシジウム形成後の孵化の段階を外部環境の高浸透圧が抑制している可能性が示された。すなわち、低浸透圧化の環境で順調に生育し成熟したミラシジウムが内包されている卵であっても等ないし高張液中では孵化できないことが示された。昨年度、組換え吸虫の作出法を試行錯誤した結果として、ミラシジウムにガラス管を挿入し微量の液体を注入するための条件を確定したが、この方法による組換え虫体の作成は成功しなかった。一方で虫卵に卵殻を保持したままCas9を導入することに成功した。さらに本研究で着目するTRPM8遺伝子相同配列産物の一部を大腸菌発現により大量に調整し、これを抗原として抗体の作成を完了した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

予定通りの実験をおおむね完了している。

Strategy for Future Research Activity

現在完了している核酸・Cas9の虫卵への導入条件をもとに、組み換え効率の向上を図りつつ、予定通りの実験を実施する。

Causes of Carryover

実験用に維持している肝蛭の生育が遅れ、一部実験が年度中に実施できなかったため。遅れの原因は継代に必要な中間宿主貝の生育不良であり直接研究内容に影響はしない。また既に問題は解消されている。