2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of technique to decrease voluntary waiting period of cattle using ozone gel
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20K21372
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 康二 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (50355070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 秀一 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50455317)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | オゾンゲル / 子宮内膜 / 子宮修復 / 空胎期間短縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
オゾンゲルを最終オゾン濃度が0,0.5および5 ppmとなるようにウシ子宮内膜間質細胞培養液に添加し、24時間培養した。その後、1μg/mLのLPSを添加し、6時間後細胞を回収した。回収した細胞よりRNAを抽出し、逆転写してcDNAを合成した。このcDNAを用いて、定量的PCR法(qRT-PCR)により、IL6遺伝子発現量を検討した。なお、GAPDHを内部標準とした。オゾンゲルの添加により、LPS添加・非添加に関わらずIL6遺伝子の発現量に有意な変動は見られなかった。さらに、対照区ではLPS添加によりIL6遺伝子の発現量が若干増加する傾向が見れれたものの、どの実験区においてもLPS添加によってIL6遺伝子発現量の有意な増加は見られなかった。 最終添加オゾン濃度を増加させると、オゾンゲル内に多く含まれているグリセリン濃度が上昇し、細胞にダメージを与える可能性があるため、グリセリンの影響を受けないオゾン添加手法の開発が必要である。そこで、このオゾンゲルをアガロースで包埋し、グリセリン濃度上昇を抑えつつオゾン濃度を高く保てるかについて検討を行った。本研究では2つの方法を行った。1つは細胞培養ウェルにオゾンゲルを添加し、その上にアガロースゲルを重層し、ゲルの拡散を防ぐ方法(重層法)およびウェル内にアガロースを重層し、中央部に円柱状に縦穴をあけ、その中にオゾンゲルを添加し、その上部にさらにアガロースを重層する方法(包埋法)を用いた。これらのオゾンゲル-アガロース層の上層に培養液を添加し、培養液中のオゾン濃度を測定した。重層法では添加初期時に平均6.72 ppmのオゾンが存在していたが、包埋法では平均25.4 ppmのオゾンが含まれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
。直接添加 5 ppmではIL6遺伝子発現に変化が見られなかったためこれ以上の高濃度で実験する必要がある。しかしながら直接添加ではオゾンゲル内に溶媒として存在するグリセリンが高濃度になってしまうため、限界がある。本年度はアガロースゲルを用いてグリセリンの培養液内への拡散を防ぎながらオゾンの拡散のみを達成するための手法開発に時間を要した。2つの方法(重層法および包埋法)を試みたが、特に包埋法で培養液中に高濃度のオゾンが確認出来た。本法を用いることによって細胞を培養し、炎症系遺伝子(IL6)だけでなく細胞外マトリックスなどの子宮修復に関係するその他の遺伝子発現への影響について検討することが可能となると推測され今後この遅れは十分に取り返すことが出来ると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の結果から、アガロースゲル包埋法を用いることによって培養液中に高オゾン濃度を達成することが可能になった。この手法を用いて以下の検討を進めることとする。1.子宮機能回復のためには分娩後の感染炎症からの早期の離脱が必要である。オゾンゲルの炎症系に与える影響を明らかにするため炎症系遺伝子発現(IL6, IL8等)に与える影響について検討する。2. また、子宮修復のためには損傷を受けた組織において細胞の増殖・組織の再構築が必要である。これらに対するオゾンゲルの効果を明らかにするため、細胞増殖能および細胞外マトリックス関連遺伝子発現(コラーゲン、コラゲナーゼ等)に及ぼす影響について検討する。3. 最終的にオゾンゲルが分娩後のウシ子宮修復に効果を有するかを確認するため、分娩後のウシ子宮内腔にオゾンゲルを直接投与し、子宮回復能、子宮内膜炎発症レベル、初回発情ならびに初回人工授精の受胎率を検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究実施についてコロナ禍の影響を多大に受けた。年度当初から大学構内への立ち入りと研究実施の制限を受け、同時に食肉センターでのウシ子宮の採材も困難となった。これらの要因は研究進捗に大きな影響を及ぼし、当初の計画と比べてやや遅れている状況である。これが直接予算執行にも影響し、実行できなかった研究に係る予算が差引額として生じた。しかしながら、現時点において、依然コロナ禍ではあるものの、大学からの研究停止の指示も出ておらず、当該年度の積み残し研究が次年度は実施可能と考えている。以上の理由から次年度使用額が発生しており、その次年度使用についても計画されている。
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