2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of gene regulatory network for cellular magnesium ion homeostasis.
Project/Area Number |
20K21381
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 耕一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10262073)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | マグネシウムイオン / 恒常性維持機構 / 細胞内ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内で大半のMg2+をプールしているMg2+貯蔵体は、そもそもセントラルドグマにおける生体高分子合成基質・エネルギーソース(ヌクレオチド3リン酸)や、合 成装置そのもの(リボソーム)であるため、合成装置それ自身の産生も厳密にコントロールされていることかが予想される。 従って、これらの解明のために、 【1】Mg2+恒常性維持に関わる分子群の網羅的探索【2】Mg2+濃度と各種分子装置の合成・活性制御における動態解析の2通りの解析をすすめ、結果の統合をすることで細胞内Mg2+恒常性維持ネットワーク機構の解明を行なった Mg2+恒常性維持に関わる分子群の網羅的探索:Mg2+要求性株から200余りのサプレッサー株のゲノムNGS解析を完了した。その内、特に重複して変異が検出される因子に重点を置いた機能因子同定を進めた。その結果、新規な機能因子カテゴリーに属する因子がMg2+恒常性に関わることが明らかにされた。Mg2+とは異なる別の2価カチオン膜輸送体を始めとする細胞膜上のタンパク質、さらには、タンパク質合成系因子が含まれる。これらはその活性発現において、Mg2+との関連性も高く細胞の情況を検知し膜タンパク質との連携により細胞内Mg2+恒常性を実現するためのネットワークを形成しているものと判断された。一方、ネットワークの情報を受け最終的に膜を介したMg2+濃度調整を行うと考えられる立体構造が未知のチャネル膜タンパク質についてはAlpha Foldなどを用いた構造予測と変異部位の機能推定も平行して進め、構造上の変異体部位に基づく機能推定も行った。これらの因子の野生型および変異型遺伝子を挿入した発現誘導型プラスミドを構築し、Mg2+応答性蛍光分子による細胞内Mg2+濃度変動を検出する簡易アッセイ系を確立することで機能実証を行った。現在、これらの結果を取りまとめた論文の改訂作業を進めている。
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