2021 Fiscal Year Research-status Report
Functional Analysis of RBM20 Whose Mutation Causes Dilated Cardiomyopathy
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20K21385
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
黒柳 秀人 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30323702)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 拡張型心筋症 / mRNA前駆体 / 選択的スプライシング / ノックインマウス / 長リード次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、Rbm20ノックアウトマウスでは拡張型心筋症様の表現型が現れず、患者型変異のS637Aノックインマウスでのみ表現型が現れることの原因として、RBM20(S637A)変異型タンパク質が細胞質で形成する顆粒状構造が関与する可能性について検討するため、核移行シグナルとして必須であるRSRSP配列以外で報告された家族性拡張型心筋症の変異がRBM20の核局在とTtnレポーターのスプライシング制御に与える影響を解析した。その結果、この変異は培養細胞での核局在には影響しないにも拘わらず、スプライシング制御能が有意に低下することがわかった。したがって、この変異は変異型RBM20の細胞質顆粒を形成せずとも拡張型心筋症を引き起こしている可能性が高くなったことから、新たにこのノックインマウスを作製し、遺伝子型解析によりデザインどおりに一塩基置換のノックインマウスが作製できていることを確認した。
長リード次世代シーケンサーによるTtn mRNAの配列解析については、直接RNAシーケンス解析、直接cDNAシーケンス解析、長鎖PCR産物のシーケンス解析の3つの方法を比較した結果、現時点では長鎖PCR産物が現実的であると判断した。そして、RBM20ノックアウトやノックインのヘテロ接合体でも中程度にスプライシング異常が見られたことから、野生型、ヘテロ接合、ホモ接合のRbm20変異マウスの心筋からTtn mRNAをRT-PCRで増幅し、長リード次世代シーケンサーで解析したところ、ヘテロ接合体では、これまでの論文で予測されていたとおり、さまざまなパターンのN2BA型が発現していることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Rbm20遺伝子改変マウスを用いた個体レベルでの変異型RBM20タンパク質やそれと共存する他のタンパク質、RNAの解析については、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言等の影響により研究のための時間が制約されたこと、代表者の異動により繁殖施設の移動を行ったこと、マウスの心筋細胞から内在性RBM20を免疫沈降する方法の検討に想定以上の時間を要していることから、必ずしも想定したスケジュールどおりには研究が進展しているとは言えない。 新たに作製したノックインマウスについては、繁殖を進める一方で、研究機関間の移動の準備もしている。
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Strategy for Future Research Activity |
Rbm20遺伝子ノックアウトおよびS637Aノックインマウスにおける内在性Ttn mRNAの長リードシーケンス解析については、現在手元にあるマウスの全遺伝子型(野生型、ヘテロ接合体、ホモ接合体)についてそれぞれライブラリを調製して解析・比較を行う。新しく作製したノックインマウスについても、心筋細胞でのTtnその他の標的遺伝子についてスプライシング異常があるか確認を行う。内在性Ttn mRNAのスプライシング異常が確認された場合には、上記と同様に長リードシーケンス解析を行い、S637A変異マウスやノックアウトマウスと比較する。 新しく作製したノックインマウスについては、東京医科歯科大学の井原健介助教の協力を得て表現型の解析をさらに進める。 紫外線架橋法による変異型RBM20(S637A)結合RNAの網羅的解析についても、引き続き条件検討を行う。 これらの解析を通じて、RBM20の正常機能やRBM20変異による拡張型心筋症の病態発現機構の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染状況の悪化に因る研究資材の納品の遅れや、代表者の異動に伴う遺伝子組換えマウスの移転による研究期間の中断期間があったため、当初の計画よりも遅れており、令和4年度までの補助事業期間延長を申請して承認されたため、令和4年度も引き続いて研究を遂行する。 遺伝子組換えマウスの飼育費用、分子生物学実験のための試薬類および長リード次世代シーケンサーによるcDNAのシーケンス解析の外部委託費用として残金を使用する。
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