2021 Fiscal Year Annual Research Report
同一遺伝子座から翻訳される2種の新規ポリペプチドによる精子形成機構の解明
Project/Area Number |
20K21397
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 有樹修 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60741519)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | Long non-coding RNA / ポリペプチド / 精子 / 不妊 |
Outline of Annual Research Achievements |
Long non-coding RNA (lncRNA)は、その定義によるとタンパク質を翻訳しないRNAであるが、われわれはlncRNAと思われていたRNAから翻訳される新規ポリペプチドを多数同定した。それら新規ポリペプチドのうち、われわれがKastorとPolluksと名付けた新規ポリペプチドは、同一遺伝子座の第1エキソンが異なる2つのアイソフォームから翻訳されていた。これらポリペプチドはどちらもVDAC3と非常に強く結合しており、ポリペプチドを両方欠損するマウスは雄性不妊を示した。本課題では、この新規ポリペプチドがVDAC3をどのように制御しているのかという詳細な分子機構の解明に取り組んだ。 われわれはin vitro current trace assayやin vitro liposome assayなどを用いて、KastorとPolluksがVDAC3のチャネル活性に影響するかどうか検討したが、KastorとPolluksの有無はVDAC3のチャネル活性には影響しなかった。さらにKastor/Polluksノックアウトマウスを用いて精子のミトコンドリアの代謝活性やカルシウム濃度、mPTPの形成など多様な解析を行ったが、いずれにおいても優位な差は検出されなかった。これらの結果より、Kastor/PolluksはVDAC3のチャネル活性以外の機能を制御することにより、精子の形成に寄与することが示唆された。また、Kastor/PolluksとVDACの共結晶の構造解析により、VDAC3の内腔にポリペプチドらしき電子密度が観察されたが、より詳細な結果を得るために、さらに条件検討を行っていく必要がある。
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