2022 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝暗号改変による新規超高感度タンパク質NMR測定法の創製
Project/Area Number |
20K21402
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
河野 俊之 北里大学, 医学部, 教授 (40416657)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質NMR / 無細胞タンパク質合成 / 安定同位体標識 / 超高感度 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は、10 μg 以下かつ 1 μM 程度の濃度で迅速なNMR解析を可能にし、タンパク質NMR解析のブレークスルーをもたらすことであり、そのために現在最も感度良くNMRが測定できるロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、バリン(Val)、メチオニン(Met)のメチル基に注目し、そのメチル基の13C NMRシグナルをこれまでに無いほどの高感度で簡便に帰属する方法を創製することである。タンパク質のメチル基のNMRシグナルはわずか 1 μM のタンパク質濃度で観測可能であるが、そのシグナルそれぞれがどの残基に属するものかの帰属を行うためには、1 mM 程度の濃度の試料と長時間の3次元NMR測定が必要であり、その方法もメチオニンのメチル基には原理的に適用困難である。そこで、メチオニンも含めた4種類のアミノ酸のメチル基のNMRシグナルの帰属を1 μM で行える技術の開発に着手した。 今年度は、FKBPタンパク質をモデルタンパク質とし、昨年度に引き続き残基番号選択的安定同位体標識を行った。昨年度までにFKBPタンパク質に含まれる全てのメチオニン残基に対してそれぞれ選択的安定同位体標識を行い、メチオニン残基のシグナルが1残基分だけ出現することを1H-15N HSQCおよび1H-13C HSQCスペクトルの測定で確認していた。また、イソロイシン残基のうち4カ所についてもそれぞれ選択的安定同位体標識を行い、イソロイシン残基のシグナルが1残基分だけ出現することを1H-15N HSQCおよび1H-13C HSQCスペクトルの測定で確認していたが、今年度は、残りのイソロイシン残基について選択的安定同位体標識と、新たにバリン残基について選択的安定同位体標識を試みた。これらについては、現在NMRシグナルの解析を行っている。
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