2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21403
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石水 毅 立命館大学, 生命科学部, 教授 (30314355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 貴生 摂南大学, 理工学部, 講師 (10597876)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 植物細胞壁 / 多糖 / ペクチン / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物細胞壁ペクチン成分ラムノガラクツロナンI(RG-I)生合成酵素のうち、主鎖のラムノース残基にガラクトース残基を転移するRG-I:ガラクトース転移酵素を研究対象としている。これまでに明らかにした本酵素の性質から、本酵素が天然変性領域をもち、他の酵素と複合体を形成していることを想定した。本研究では、本酵素遺伝子を同定すること、この酵素と相互作用する酵素があるか調べることを研究目的としている。初年度は、本酵素遺伝子の同定の研究に取り組んだ。 RG-I:ガラクトース転移酵素の働きにより、「側鎖にガラクタンをもつRG-I」が生合成される。本酵素の遺伝子は未同定である。2020年度は、大学での研究活動の制限があり、この酵素の候補遺伝子の探索を中心に進めた。産業技術総合研究所の光田展隆博士が中心になって構築した亜麻繊維細胞とポプラあて材の遺伝子発現データベースFIBexDB(https://ssl.cres-t.org/fibex/)を用いた。これらの植物材料は「側鎖にガラクタンをもつRG-I」の含量が高く、RG-I:ガラクトース転移酵素の発現量が多いと考えられるためである。このデータベースを用いて、機能未知で発現量が高い糖転移酵素様遺伝子を改めて選抜した。その結果、8種類の候補遺伝子を選抜することができた。いずれも機能未知糖転移酵素で、他の既知ペクチンRG-I生合成酵素遺伝子と共発現している遺伝子である。これらの候補遺伝子がコードするタンパク質に酵素活性を検出することで、本酵素遺伝子の同定を行う。現在、候補遺伝子がコードするタンパク質を哺乳動物培養細胞HEK293T細胞で発現させることを試みている。これまで、pSF、pRPベクターを用いて、細胞内にわずかではあるが発現させることができた。このタンパク質の酵素活性を検出することで、RG-I:ガラクトース転移酵素遺伝子の同定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物細胞壁ペクチン成分ラムノガラクツロナンI(RG-I)生合成酵素のうち、主鎖のラムノース残基にガラクトース残基を転移するRG-I:ガラクトース転移酵素を研究対象としている。この酵素の働きにより、「側鎖にガラクタンをもつRG-I」が生合成される。本酵素の遺伝子は未同定である。2020年度は、コロナ禍で大学での研究活動の制限があり、この酵素の候補遺伝子の探索を中心に進めた。産業技術総合研究所の光田展隆博士が中心になって構築した亜麻繊維細胞とポプラあて材の遺伝子発現データベースFIBexDB(https://ssl.cres-t.org/fibex/)を用いた。これらの植物材料は「側鎖にガラクタンをもつRG-I」の含量が高く、RG-I:ガラクトース転移酵素の発現量が多いと考えられるためである。このデータベースを用いて、機能未知で発現量が高い糖転移酵素様遺伝子を改めて選抜した。その結果、8種類の候補遺伝子を選抜することができた。いずれも機能未知糖転移酵素で、他の既知ペクチンRG-I生合成酵素遺伝子と共発現している遺伝子である。これらの候補遺伝子がコードするタンパク質に酵素活性を検出することで、本酵素遺伝子の同定を行う。現在、候補遺伝子がコードするタンパク質を哺乳動物培養細胞HEK293T細胞で発現させることを試みている。これまで、pSF、pRPベクターを用いて、細胞内にわずかではあるが発現させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、引き続きRG-I:ガラクトース転移酵素の遺伝子同定に向けた研究を進める。候補遺伝子がコードするタンパク質について、これまでの発現の方法では、発現させたタンパク質を精製できておらず、酵素活性測定に至っていない。そこで、これまでとは異なる分泌シグナルを付加するpSecやpGnベクターを用いてHEK293T細胞で発現を試みる。これらのベクターは、植物由来の糖転移酵素を分泌型で大量に(mgオーダー)で発現させた実績のあるベクターである。これらのタンパク質発現がうまくいけば、事前に調製したペクチンRG-Iオリゴ糖を基質として、酵素活性測定を行い、当該遺伝子を同定する。 本酵素は、植物粗酵素中では、カチオン性界面活性剤や高分子電解質を加えると超活性化する(酵素活性が40倍上昇する)ことから、天然変性領域を持つ可能性を想定している。シロイヌナズナゲノムにコードされる糖転移酵素様の566の遺伝子について天然変性領域をもつか探索し、もっているものについては、RG-I:ガラクトース転移酵素である可能性を考慮に入れて研究を進める。
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Causes of Carryover |
【次年度使用が生じた理由】コロナ禍により大学での研究の制限があり、計画していた研究室における実験が一部実施できなかったため。 【使用計画】前年度、行えなかったペクチンRG-I:ガラクトース転移酵素候補タンパク質の哺乳動物培養細胞HEK293T細胞での発現を行う。
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[Journal Article] Diversity of pectin rhamnogalacturonan I rhamnosyltransferases in glycosyltransferase family 1062020
Author(s)
Wachananawat, B., Kuroha, T., Takenaka, Y., Kajiura, H., Naramoto, S., Yokoyama, R., Ishizaki, K., Nishitani, K., Ishimizu, T.
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Journal Title
Frontiers in Plant Science
Volume: 11
Pages: 997
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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