2020 Fiscal Year Research-status Report
人工細胞膜に封入した後成修飾クロマチン繊維の細胞内導入と遺伝子発現の定量的理解
Project/Area Number |
20K21406
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
梅原 崇史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (20415095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 厚輝 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (70612315)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | エピゲノム / クロマチン / ヌクレオソーム / リポソーム / 遺伝子発現 / 細胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エピジェネティクス修飾情報を含む長鎖クロマチン(人工エピゲノム断片)を試験管内再構成と人工細胞膜への封入技術によって培養細胞内に導入する新規技術を開発することを目的とする。本年度は、試験管内での長鎖クロマチンの再構成と、再構成系で転写・翻訳を経時検出するシステムを開発すると共に、膜封入と細胞導入の効率を検討した。研究代表者は、再構成するクロマチンのモデルDNAとして約200kbの環状プラスミドDNAのクロマチンの試験管内再構成を検討した。このクロマチンに導入する後成修飾として、真核生物遺伝子の転写活性化で中心的な役割を果たすヒストンH4のN末端の4箇所のリジン(K5/8/12/16)のアセチル化をモデル系として想定し、アセチル化H4タンパク質を遺伝暗号の拡張システムを利用してミリグラム規模で調製した。また、膜封入モデルにおけるクロマチンからの遺伝子発現を測定するための転写カセットを調製し、試験管内の無細胞転写・翻訳システムにおける転写・翻訳反応を経時的にモニターする実験系をセットアップした。研究分担者は、これまでに開発したマイクロデバイスによる人工細胞膜の作製法の応用により、長鎖クロマチンDNA分子を効率的に膜内に封入する方法を検討した。今年度は予備的な解析において研究代表者が調製したクロマチンを人工細胞膜内に封入できることを確認した。さらに、研究代表者が作製した無細胞転写・翻訳システムにおける転写・翻訳反応を経時的にモニターする実験系を封入し起動させるために、脂質組成、浸透圧や人工細胞膜のサイズ等の条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者および研究分担者の双方において順調に研究が進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに進める。さらに、膜封入モデルにおけるクロマチンからの遺伝子発現を測定するための転写カセットを調製し、無細胞転写・翻訳システムにおける転写・翻訳反応を経時的にモニターする実験系を人工細胞膜内で起動させる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため研究代表者・分担研究者のラボ間での出張・共同実験が行えず、研究の一部について物品購入を控える必要が生じたため。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画は、昨年度に実施予定だった研究、および今年度の研究の展開で追加的に購入が必要な物品の購入等に充てる予定である。
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