2023 Fiscal Year Annual Research Report
Neuronal control of gear for flapping flight
Project/Area Number |
20K21414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
並木 重宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (40567757)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | はばたき飛行 / ハルテア / 飛翔神経叢 / ギアボックス / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では昆虫の飛行を制御する仕組みを調べるため、分子遺伝学的なツールが利用できるモデル動物のキイロショウジョウバエを対象とし、飛行制御を担う神経回路を明らかにすることを目的とした。また将来の細胞機能の検証ツールとして、Split-GAL4を用いた飛行回路の構成ニューロンを選択的に標識する組み換え系統の作出についても検討した。 飛行の制御に関わる神経回路として、飛翔神経叢あるいはハルテア神経叢に神経支配をもつ細胞の探索および解剖学的な分析を行った。神経系の発現が確認されているGAL4系統の神経データベースより、既知の神経細胞を含む系統を特定した。さらに、これまでに特定されていなかった新しい種類の神経細胞を特定した。このなかには巨大な軸索をもち、飛翔神経叢に出力する3種の細胞を含む(contralateral wing interneuron IA, IB, II)。cWIN-IAは飛翔神経叢、cWIN-IBは飛翔神経叢に加えてハルテア神経叢に入力領域を持ち、双方とも飛翔神経叢の前方に出力していた。cWIN-IIは飛翔神経叢に入力領域を持ち、飛翔神経叢の後方に出力していた。形態学的な分析から、いずれの細胞種も飛行の操縦に重要な役割をもつ間接飛翔筋(basalar muscle)への運動ニューロンmnb1とシナプス接続していることが示唆された。 拡大した軸索を持つ神経細胞の存在は、昆虫種間でも様式が異なり、生態学的な意義を大きく反映していると考えられる。飛行回路における巨大介在ニューロンについては、飛行の制御に関する速い情報処理の必要性を反映した適応である可能性がある。これらの系統を利用することにより、飛行制御のより詳細な分析が可能となる。
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