2022 Fiscal Year Research-status Report
RNA高次構造ダイナミクスを介した植物環境応答システムの解明
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20K21415
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大谷 美沙都 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (60435633)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | RNA高次構造 / 植物環境応答 / 温度依存性 / RNAサーモメーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物のロバストな細胞形質発現を可能にする環境応答システムとして「RNA高次構造ダイナミクス」に着目し、温度依存的なRNA高次構造ダイナミクス情報の新規取得、さらには、植物における「RNAサーモメーター」の同定を目指して解析を行っている。 2021年度の22℃、28℃の温度条件で育てたシロイヌナズナ芽生えに関するトランスクリプトームデータの比較解析の結果、温度依存的にオーキシン関連遺伝子のmRNA代謝が大きく変化することが明らかとなっていた。一方で、シロイヌナズナpre-mRNAスプライシング関連変異体の解析から、芽生えの成長は温度(16℃、22℃、28℃)とサイトカイニンの両方に依存することがわかった。そこで、サイトカイニン、温度の両条件を変化させた条件でトランスクリプトーム解析を行った結果、新たに温度とサイトカイニンに依存したオーキシン関連遺伝子の発現変動が検出された。以上はmRNAプロセシング制御に対する温度と植物ホルモンの複雑な相互作用性を示唆しており、予想外ながらも非常に興味深い成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DMS-seq解析は進行中であるものの、サイトカイニンの関与を見いだすなど、新たな方向性の成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
シロイヌナズナ胚軸からのカルス形成の系、および芽生えサンプルを用いて、温度および植物ホルモン依存的なRNA-seqおよびDMS-seq解析を行う。詳細な比較解析によって、温度依存的RNA高次構造ダイナミクス情報の取得と、植物ホルモン制御の可能性について結論を得る。
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Causes of Carryover |
当初想定していなかったサイトカイニンの関与と植物ホルモン間の相互作用性が明らかになったことから、計画を変更して追加解析を行ったため。次年度は遂行中のDMS-seqを完了させ、最終的な結論を得る予定である。
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Research Products
(4 results)