2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21420
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
若林 憲一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80420248)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 鞭毛・繊毛 / 緑藻 / クラミドモナス / ダイニン / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鞭毛・繊毛研究のモデル生物であるクラミドモナスを材料にして、性質の異なる2本の鞭毛の分子レベルでの違いを明らかにすることを目的としている。 クラミドモナスは2本の鞭毛を平泳ぎのように動かして水中を泳ぐ。光などの刺激を受けると、2本の間での打つ強さのバランスを変化させることによって遊泳方向を変化させる。つまり、2本の鞭毛は異なる性質をもっており、そのこと自体は30年ほど前から知られていたが、分子レベルでの違いはわかっていなかった。本研究は、我々が偶然見出した「1本しか鞭毛を打たない変異株」の解析を通じてこれを明らかにすることを目的としている。 2020年度は、この計画立案の端緒となった「2本のうち1本しか運動しない」2重変異株の運動性詳細解析を行った。in vitro運動系でこの変異株の鞭毛運動を評価すると、当初予想していたCa2+感受性については野生株との間に差はないことがわかった。2本の鞭毛の性質の違いにはCa2+, cAMPの応答性がよく知られているため、cAMP感受性の検証が今後の課題となった。 また、親株の鞭毛との比較プロテオミクス解析を行った。この結果、単独変異株では野生株並に存在しているタンパク質が、2重変異株でだけ大幅に減少している、あるいはほぼ完全になくなっているケースをいくつか見出すことに成功した。現在これらのタンパク質を欠損した変異株を作成し、その表現型解析が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた通り、2重変異株でだけ失われているタンパク質のリストをつくることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
欠損タンパク質リストを、その予想機能から絞り込み、2本の鞭毛の違いを生み出している原因タンパク質を同定する。
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Causes of Carryover |
研究自体は順調に進行したが、コロナ禍によって参加予定であった国際会議2件が延期されたことが大きな原因である。予定通り延期開催された場合はその参加費・旅費に充てる予定である。仮にコロナ禍が収束せず会議が中止になった場合は、予算の都合で解析をとりやめた一部の変異株について解析を行うこととし、その予算に充てる。
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Research Products
(6 results)
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[Book] 相分離生物学の全貌2020
Author(s)
若林憲一、植木紀子(白木賢太郎・編)
Total Pages
416(うち4頁を担当)
Publisher
東京化学同人
ISBN
9784807913466