2021 Fiscal Year Research-status Report
ノンコーディングゲノム領域に隠されたヒトの朝型・夜型を決める制御機構の同定に挑む
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20K21426
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土居 雅夫 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20432578)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 体内時計 / ノンコーディング領域 / 朝型夜型 / 睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
ノンコーディングゲノム領域に隠されたヒトの朝型・夜型を決める制御機構の同定に挑戦するという目標に向け、当初の研究計画に従い、研究を実施することができた。すなわち、昨年度の調査スクリーニングの結果から選別したマウスおよびヒトに保存されたノンコーディングエレメントに対して、特異的に点変異を導入した遺伝子改変マウスの作成に着手し、実際に目的のF1マウスを取得することができた。また本年は、私共が体内時計遺伝子の5’上流のノンコーディング域にあるシスエレメントに点変異を導入して作成したマウス(Per2 E’-box mutマウス)についての研究成果を、国際学会において発表(Doi M, Time as medicine and disease etiology. The CFBT Summer Showcase, Manchester, UK; Doi M, Circadian clock: disease etiology and drug target exploration. The 5th Asian Forum on Chronobiology, Kaifeng, China)することができた。重要なことに、本シスシスエレメントは細胞・組織における遺伝子のサーカディアン発現リズム、ならびに、個体レベルにおける活動・体温の日内リズムの正常な維持に必要である。このようにノンコーディングゲノム領域の体内時計や睡眠機構に対する役割は想像以上に大きい可能性がある。本研究は現在、仮説検証のために必要となる新たな実験動物モデルのデザインと作成を終え、そのコロニー拡大の段階へと進んでいる。当初の計画に沿って研究を進めることができているといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトゲノムの98%はタンパク質をコードしないノンコーディング配列である。これまでの分子遺伝学を用いた睡眠/体内時計の研究では遺伝子のコーディング部位の変異を基盤とした研究が主に進められてきた。本研究では、当初の研究計画に従い、ノンコーディングゲノム領域に隠されたヒトの朝型・夜型を決める制御機構の同定という挑戦に向け、昨年度の調査スクリーニングの結果から選別したマウス/ヒトに保存されたノンコーディング領域のゲノムDNAエレメントに対し、点変異を導入した遺伝子改変マウスの作成に成功し、実際に目的の変異配列をもつF1マウスを取得することができた。今後のマウスコロニー拡大とそのフェノタイプ解析の成否を待たねばならないが、当初の計画に従って研究を順調に進めることができているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、当初の研究計画に従ってノンコーディングゲノム領域に隠されたヒトの朝型・夜型を決める制御機構の同定という挑戦に向けた仮説検証を行う。特に、前年度までの研究調査によって選定したノンコーディングエレメントに重点をおいて変異マウスのコロニー拡大ならびにそのフェノタイプ解析を進める。具体的には、当該ゲノム改変マウスと、対照となる野生型マウスを用いて1)自発活動リズムの周期・位相角・光応答性、2)深部体温リズムの周期・位相角・光応答性、3)睡眠覚醒リズムの周期・位相角・光応答性(脳波装置の利用)、4)体内時計の最高位中枢器官である視交叉上核のex vivo連続培養を用いた時計遺伝子発現リズム、および5)当該視交叉上核におけるin vivo遺伝子発現変化(RNA-Seq)の比較調査を行い、当該ノンコーディングエレメントの有無による朝型/夜型クロノタイプ、ならびに睡眠覚醒の動態パターンへの影響を調査する。
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[Journal Article] Intracrine activity involving NAD-dependent circadian steroidogenic activity governs age-associated meibomian gland dysfunction.2022
Author(s)
Sasaki L, Hamada Y, Daisuke Yarimizu D, Suzuki T, Nakamura H, Shimada A, Nguyen Pham KT, Shao X, Yamamura K, Inatomi T, Morinaga H, Nishimura EK, Kudo F, Manabe I, Haraguchi S, Sugiura Y, Suematsu M, Kinoshita S, Machida M, Nakajima T, Hiroshi Kiyonari H, Okamura H, Yamaguchi Y, Miyake T, Doi M
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Journal Title
Nature Aging
Volume: 2
Pages: 105-114
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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