2020 Fiscal Year Research-status Report
ステロイドホルモン系の起源は“細胞外液”を獲得した新設の後口動物の群に辿れるか?
Project/Area Number |
20K21429
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 竜哉 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10294480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 麻友子 岡山大学, 理学部, 特別契約職員(助教) (40378584)
坂本 浩隆 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (20363971)
前嶋 翔 岡山大学, 理学部, 特任助教 (10773286)
片山 侑駿 岡山大学, 自然科学研究科, 特任助教 (00837601)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ステロイド系の原点と思われる珍無腸動物の本系とその機能を、ムチョウウズムシを用いて解明する。まず、ERとSRのcDNAを配列から同定した。 ①これらのアゴニスト、アンタゴニストを、哺乳類等で有効なものから探索した。専門の北大・理・勝義直教授が協力した。代表研究者の実績と関わるSRに重きをおいた。これは無脊椎動物では、ほとんど報告がない。各種応答配列の下流に基本プロモーター次いで蛍光タンパク質cDNAを繋いだ遺伝子と、SR遺伝子を導入した培養細胞によるレポーターアッセイを行った。100 nMのプロゲステロン、11-デオキシコルチコステロン、エストラジオール、ジヒドロキシテストステロンのいずれでも活性化されなかった。そこで、ヌタウナギ副腎皮質ホルモン受容体とのキメラコンストラクトを包括的に作製・導入して、アッセイを行った。結果、無腸動物のSRは、 ・認識する標的遺伝子のプロモーターの応答配列が、脊索動物のステロイドホルモン受容体の応答配列とはかなり異なる。 ・既存のアゴニスト、アンタゴニストが作用する可能性は低いが、(新奇の祖先型リガンドが存在し)転写活性はある。可能性が示された。 ②SR、ERの機能を推定するため、各々の発現様式を検討した。明暗周期や温度の変化/成熟にともなう発現変化をReal-time PCRで解析した。また発現部位は、in situ hybridizationに加え、特異的抗体を作製し免疫染色により同定した。SR、ERは、組織特異的マーカーで同定した生殖腺などで発現し、異なった動態を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アゴニスト、アンタゴニストは、哺乳類等で有効な既存のものには、存在しないようであるが、新奇の祖先型リガンドの示唆と、まさに萌芽的な展開となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記①の内因性リガンドの同定を、無脊椎動物のステロイドホルモン同定をリードする東京大学の永田晋治博士らとの共同で開始する。機能解明のため、これらへ浸漬する。あるいはSR遺伝子ノックダウンの、上記②から推定される機能への影響を見出す。浸漬法、RNAi法とも、従来近縁とされていた生態/体制の近いヒラムシ類で申請者らが成果を挙げている。そして、ステロイドホルモン系の機能的原点~内分泌系の起源を考察する。
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Causes of Carryover |
アゴニスト、アンタゴニストは、哺乳類等で有効な既存のものには、存在しないようであるが、新奇の祖先型リガンドの示唆と、まさに萌芽的な展開となったため。 この内因性リガンドの同定を、無脊椎動物のステロイドホルモン同定をリードする東京大学の永田晋治博士らとの共同で開始する。機能解明のため、これらへ浸漬する。あるいはSR遺伝子ノックダウンの、上記②から推定される機能への影響を見出す。浸漬法、RNAi法とも、従来近縁とされていた生態/体制の近いヒラムシ類で申請者らが成果を挙げている。そして、ステロイドホルモン系の機能的原点~内分泌系の起源を考察する。
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