2021 Fiscal Year Research-status Report
皮膚幹細胞の糖鎖をターゲットとした老化制御に向けての基盤研究
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20K21431
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐田 亜衣子 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (80779059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘野 浩章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (30450670)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 表皮幹細胞 / レクチン / 皮膚老化 / シアル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、身体の加齢変化の一因として、分化細胞の供給源である幹細胞の機能破綻(幹細胞の老化)が提唱されている。我々は、生命機能に必須の分子であるが、未解明な部分の多い「糖鎖」に着目し、皮膚から単離した表皮幹細胞を用いた網羅的な糖鎖プロファイリングを行った。その結果、皮膚幹細胞の加齢に伴い、糖鎖修飾パターンがダイナミックに変化する「グライコームシフト」が起こることを発見した。しかし、なぜ老化した幹細胞で糖鎖が変化するのか、糖鎖をターゲットとすることで幹細胞の老化―抗老化をコントロールできるかは、挑戦的課題として残っている。本研究は、①皮膚幹細胞における若年型、老化型糖鎖への改変、②糖鎖を標的とした老化幹細胞の除去の2つの戦略により、幹細胞老化の原因を究明し、糖鎖を基軸とした老化制御へ向けた基盤を創出することを目的に実施した。 シアル酸の付加に働く糖転移酵素(St3gal2、St6gal1)、およびマンノースの分解に働くMan1aが、表皮幹細胞の加齢に伴い有意に発現が上昇することを見出した。加齢に伴う糖鎖変化の生物学的意義を明らかにするため、ドキシサイクリン依存的に表皮幹細胞でSt3gal2、St6gal1、Man1a遺伝子を誘導するTet-ONマウスを作製し、トランスジーンの発現確認および皮膚表現型解析を行った。マウス初代培養ケラチノサイトにおいて、3種の糖修飾酵素(St3gal2、St6gal1、Man1a)を単独または同時に発現させた。レクチンプローブを用いた免疫沈降・質量分析を行い、rGal8Nと結合を示す候補タンパク質を複数同定した。ヒト表皮幹細胞での糖鎖解析を進めるため、年齢の異なる表皮幹細胞を培養しサンプルを回収した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに作製したトランスジェニックマウスの表現型解析を進めている。また、レクチンを用いた免疫沈降に関しても候補タンパク質が同定でき、解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続きトランスジェニックマウスの表現型およびコアタンパク質候補の機能解析を進める。また、ヒト表皮幹細胞についてはサンプルの取得と糖鎖解析を引き続き行う。
得られたトランスジェニックマウスは、tet-onマウス系統であるRosa-rtTA、K14-rtTAと交配し、ドキシサイクリン依存的に遺伝子の発現誘導を行う。皮膚表現型は、組織学的解析、マーカー染色、皮膚損傷アッセイによって解析する。コアタンパク質は、レクチンとの結合を解析後、in vitro、in vivoで機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
論文や学会発表へ向けてマウスの解析や同定したタンパク質の機能解析など、追加実験が必要であるため、研究期間を1年延長した。
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Research Products
(3 results)