2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21434
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
寺北 明久 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (30212062)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 動物オプシン / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームは、ガン細胞から分泌されることに加え、多様な通常組織の細胞からも分泌されることが知られており、エクソソームが細胞間や組織間のコミュニ ケーションに利用されている可能性が非常に注目されている。本研究では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)によるエクソソーム分泌制御を光感受性GPCRである動物オプシンを用いた光遺伝学により解明するとともに、エクソソーム分泌制御の光遺伝学ツールを、動物オプシンを用いて創生することをめざす。 前年度の解析により、培養細胞におけるエクソソームの分泌量の光依存的な増減のメカニズムを知るためには、個々のオプシンが活性化するGタンパク質の種類を詳細に明らかにする必要性を見出した。今年度は、視覚オプシン1種類と非視覚オプシン3種類(TMTオプシンなど)について、活性化するGタンパク質(アルファサブユニット)の種類を解析した。具体的には、培養細胞に発現している12種類のGαを含む16種類のGα(Gs, Gi1, Gi2, Gi, GoA, GoB, Gz, Gq, G11, G12, G13, G14, G15等)に対して、発光タンパク質(NanoBit, プロメガ)を利用した実時間解析を繰り返し行い、統計学的に有意に活性化するGαを調べた。その結果、これまでGi/Go共役型オプシンとして纏められていた比較近縁な上述4種類のオプシンであっても、活性化するGαの種類や効率に違いがあることを見出した。すなわち、詳細な様々な種類のGタンパク質に対する活性化能とエクソソームの光依存的分泌制御(増加と減少)を明確にすることにより、エクソソーム光遺伝学ツールを開発できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の解析により、二次メッセンジャーの変化とエクソソームの分泌量の変化の方向(増加、減少)が必ずしも一致しないことを見出していた。本年度における詳細な解析により、Gi共役型オプシンとして纏められていた比較近縁なオプシンであっても、活性化するGαの種類や効率に違いがあることを見出した。このことは、エクソソームの制御は、二次メッセンジャーではなく、Gタンパク質が直接関わる可能性が支持され、エクソソームの分泌制御機構と光遺伝学的制御の両面において、非常に有用な知見であると自己評価できる。従って、概ね順調に 進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間結果に基づいて、エクソソームの分泌制御方向と活性化されるGタンパク質の詳細とを比較解析することにより、光依存的にエクソソーム分泌を増加させる光遺伝学ツールとエクソソーム分泌を減少させるツールを開発する。具体的には、さらに数種類のオプシンについて、活性化するGタンパク質の種類を決定し、それらオプシンの培養細胞における光依存的なエクソソーム分泌制御を解析し、活性化するGタンパク質の種類と光依存的なエクソソーム分泌制御との関係を明らかにする。また、キメラオプシンやキメラGタンパク質を適宜利用する。
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Causes of Carryover |
動物オプシンによるエクソソーム分泌制御について、「量」的な解析と「質」的な解析を行う予定であった。しかし、量的な解析を行った段階において、エクソソームの調節が二次メッセンジャーではなくGタンパク質の種類により調節されている可能性を見出した。この発見を確認・発展させるための実験を行ったために、エクソソームの質的な解析に関係する実験が延期されている。
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Research Products
(24 results)