2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21449
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
風間 裕介 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (80442945)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝子量補正 / ゲノム / 欠失 / RNA-seq / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ゲノムは、遺伝子のコピー数の減少に対し、発現量を上昇させることで元の転写産物の量を保つ即時遺伝子量補正という機能をもつことを明らかにする。遺伝子量補正は、主に動物の性染色体で知られる現象であり、遺伝子の発現量が雄(♂)と雌(♀)との間で同レベルに調節される機構のことである。この遺伝子量補正機構が性染色体をもつ植物種にも存在するかどうかは、性染色体研究分野で注目されている。研究代表者らは、雌雄異株植物ヒロハノマンテマのX染色体が突然のY染色体欠失に対応して遺伝子量補正を行う「即時遺伝子量補正」をもつことを発見した。ヒロハノマンテマの雄に、放射線の一種である重イオンビームを照射し、Y染色体が部分的に欠失した変異体群を作った。これら変異体では、XY間の相同遺伝子のうちY染色体コピーだけが欠失している。本変異体の葉からRNAを抽出し全遺伝子の発現量を測定(RNASeq)したところ、X染色体コピーの発現量が2倍程度に上昇し、Y染色体コピーの欠失による転写産物の減少を補う「即時遺伝子量補正」が観察された。 本研究では、シロイヌナズナの常染色体において重イオンビームでヘテロの欠失を誘発した場合にも、即時遺伝子量補正が生じるのかどうかを検証する。本年度は、重イオンビームで欠失を起した102系統の変異体の一部系統について全ゲノムシーケンスを行い、常染色体のうちの1方に欠失をもつ8系統の選抜を行った。中には、ヘテロでしか遺伝しない欠失を持つ系統と、ホモでも欠失が遺伝する系統が存在した。これらの欠失についてプライマーを設計し、常染色体のうちの1方に欠失をもつ個体を選抜して生育し、RNAを抽出を行いRNASeqを行う準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
102系統の変異体の一部系統について全ゲノムシーケンスを行ったところ、5番染色体に910 Mbの巨大な欠失を持つ系統を発見した。当該変異体はpale greenの表現型を示し、主たる原因遺伝子は欠失に含まれるEGY1であることを明らかにした。他の変異体についても同様に欠失の遺伝を調査したところ、ホモで遺伝する場合とヘテロでしか遺伝できない場合とに別れた。これらからヘテロに欠失を持つ個体のみを抽出するためにプライマーセットを整備し、選抜を行った。巨大欠失を検出するプライマー作製に時間を要した他、中にはヘテロでも遺伝しにくい欠失もあったため、選抜にも予想よりも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように系統整備に時間を要したが、解析に用いる系統の整備がととのった為、RNAseqを予定通り実施し、「即時遺伝子量補正」は植物の常染色体でも生じる機構かどうかを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
RNA-seqに供試する突然変異体の系統整備に予定よりも長い時間を要したたため、RNA-seqを2021年度に行うこととした。そのため、次年度使用額が生じた。
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[Presentation] An Argon Ion-Induced Pale Green Mutant ofArabidopsisExhibiting Epidermis-Specific Albinism and Accelerated Leaf Senescence2021
Author(s)
Sanjaya A, Muramatsu R, Sato S, Suzuki M, Ishikawa H, Sasaki S, Ishii K, Ohbu S, Abe T, Kazama Y, Fujiwara MT
Organizer
日本農芸化学会2021年度大会
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