2022 Fiscal Year Annual Research Report
運動と循環の起源と進化:新たな指標による地球環境変遷との関連解明
Project/Area Number |
20K21453
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
花島 章 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70572981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
橋本 謙 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (80341080)
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | コネクチン / 心臓進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動物界横断的に心臓や筋肉の多階層構造と巨大弾性蛋白質コネクチンを解析することで運動・循環の起源と進化という難問の解明を目指している。脊椎動物は進化の過程で心房による心室血液充填のメカニズムを獲得したが、心房の大きさと心室の力学的特性の関係については十分に解明されていない。本年度は、コロナ禍のため遅れていた研究を加速するために研究補助者を雇用し、特に脊椎動物と同様に心房心室型の心臓を持つ軟体動物カキの心臓を臓器から分子レベルまで多階層的に解析し、その進化を比較した。X線CTによる循環系の可視化と圧力測定の結果、カキの心臓は血管系を持つが開放循環系であり、閉鎖循環系の脊椎動物と比較して心房心室圧は極めて低いことがわかった。カキの心臓は2つの心房と2つの心室を持ち、房室伝導はないものの、哺乳類と同様に心房と心室は交互に収縮していた。カキの心室組織はスポンジ状で、心筋細胞は細長く、大きな心房を持つ両生類の心室と似ていた。カキの心臓は貝柱などに囲まれた等容積の内腔にあり、心室収縮時に内腔が陰圧になることで、血液が心房に流入するようになっていた。電子顕微鏡像では、心筋細胞の収縮を担うミオシンフィラメントの間隔は粗だが、心筋細胞の伸展性を規定するコネクチン分子は非常に長いバネ領域を有し、大きな心房を持つ両生類の心室と同様の高い拡張能力を持つことが予測された。このように、心房による心室充填が主体の心臓において、コネクチンの長い弾性領域と高い心室伸展性は、動物門に共通する普遍的な原理であることが示唆された。
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Research Products
(8 results)