2022 Fiscal Year Research-status Report
Developmental genetic basis of evolution of male ornaments driven by "reinforcement"
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20K21454
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 俊哉 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (10709744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小長谷 達郎 奈良教育大学, 理科教育講座, 准教授 (80837790)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 強化 / 進化発生学 / 装飾形質 / 構造色 / キチョウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近縁なキチョウ2種において、強化(生殖的形質置換)によって装飾形質が2種で異なる方向へ進化した点に着目し、その進化の方向性を決めた発生遺伝学的基盤を解明することを目指した。本年度は、強化遺伝子・装飾形質形成遺伝子の同定を目指して本土産・沖縄産の個体のsingle cell RNA-seqデータの取得、遺伝子アノテーションとゲノムリシークエンス、及びゲノムワイド関連解析(GWAS解析)を進めた。また、装飾形質の発現に関連する蛹の時期の組織形態変化を透過型電子顕微鏡解析によって解析した。まず、ゲノムリシークエンスによってゲノムアセンブリの品質が向上し、single cell RNA-seq解析によって、本土産・沖縄産間の装飾形質の違いに関連した発生制御遺伝子候補が見出されたので、RNA干渉による遺伝子機能阻害実験の準備を進めた。また、発生過程の電子顕微鏡観察によって、装飾形質の発現には鱗粉細胞におけるアクチン細胞骨格とクチクラとの相互作用の変化が関連することが見出されたので、関連制御因子の機能阻害実験の準備を進めた。GWAS解析に関しては、解析個体数を増やすために1世代追加して遺伝学的交配実験を行い、得られた個体の装飾形質のスコアリングとゲノム抽出を完了し、次世代シークエンス解析(ddRAD-seq法)の準備を進めた。当初の計画通りに、実験が完了しなかったので、計画を延長し、遺伝子機能解析の完了を目指して実験を進めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度までの野外個体の採集の遅延、移動に伴う実験環境の更新に伴い、当初の計画通りには実験が完了せず、1年延期して研究を進めることとしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
発生期の遺伝子発現解析によって明らかとなった装飾形質への関連が示唆された制御遺伝子候補の機能阻害実験を行い、装飾形質を制御する遺伝子の同定と機能解析・種間の比較解析を進める。さらに、GWAS解析を完了し、得られた装飾形質関連遺伝子の機能解析を同様に進める。以上の解析により、装飾形質が2種で異なる方向へ進化した発生遺伝学的基盤の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
実験計画の遅れにより1年延期して実験を進めることとしたため、そのための経費が次年度使用額として生じた。
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