2020 Fiscal Year Research-status Report
免疫組織化学にとって代わる内在タンパク質の発現局在を調べるための革新的方法の開発
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20K21461
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内ヶ島 基政 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (10614662)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 興奮性シナプス / グルタミン酸受容体 / 足場タンパク質 / 化学プローブ / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内における内在性タンパク質の分布を理解することは細胞の生理機能を理解する上で不可欠である。特異的抗体を用いた免疫組織化学は内在性タンパク質の分布を調べるための手法として広く使用されている。しかし、抗体は巨大分子であるが故、密な生体分子複合体の内部に局在するタンパク質を検出するのは容易でない。本研究は、そのような代表例として知られる興奮シナプスタンパク質の新たな検出方法を開発することを目的とする。本年度は、生体内ゲノム編集技術によって内在性タンパク質のNまたはC末端を化学プローブタグでタグ付けする方法を用いながら、興奮性シナプスタンパク質のうち、グルタミン酸受容体や足場タンパク質の分布の可視化を試みた。固定組織にて化学プローブ標識されたニューロンを共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察したところ、化学プローブ標識シグナルはほぼ全てのスパインの先端部分で認められた。免疫組織化学と組み合わせた場合、化学プローブ標識シグナルは免疫陽性の興奮性終末と向かい合うように隣接していた。さらに、この分子標識技術は、ナノレベルの空間分解能を持った超解像顕微鏡による観察や、単一ニューロン丸ごとを含んだ厚みのある切片の透明化観察にも応用することができた。以上の結果は、新たに開発した化学プローブ標識を用いた分子標識技術が、組織中の興奮性シナプスタンパク質の検出を超微細構造レベルからニューロン丸ごとのレベルまで可能とする優れた方法であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本技術開発の最大の目的である組織中の興奮性シナプスタンパク質分布の可視化に成功したことに加え、この分子標識技術の様々な応用例を示すことができたため、当初の計画以上に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、電子顕微鏡観察に対応した新規プローブの開発を進める。すでに予定していた興奮性シナプスタンパク質全ての標識に成功したことから、当初の計画になかった興奮性シナプスタンパク質の標識レパートリーの拡張も進める予定である。
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Causes of Carryover |
1年目の研究開発が順調に進んだため、当初の想定よりも少ない支出で十分な成果を言えることができた。繰越分については、本研究をさらに発展させる目的で標識対象となる興奮性シナプスタンパク質のレパートリーを拡張するための経費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)