2022 Fiscal Year Annual Research Report
滑膜肉腫の原因となるSS18-SSX相互転座融合遺伝子翻訳産物の創薬構造解析
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20K21470
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩崎 憲治 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 教授 (20342751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 聡 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 整形外科部長 (00588379)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 滑膜肉腫 / 染色体転座 |
Outline of Annual Research Achievements |
SSX2(111-188)のeviction modelの妥当性を調べるために2つの実験を行い結果を得た。本実験の計画は、2/3の患者に検出されるSS18-SSX1だけでなく、1/3の患者に検出されるSS18-SSX2に対する創薬も念頭に入れた実験である。一つはヌクレオソームに対する結合親和性をSSX1(111-188)と比較した実験である。Electrophoretic Mobility-Shift Assay (EMSA)によりSSX2(111-188)は、SSX1(111-188)よりも非常に弱い親和性しかヌクレオソームに対して示さないことが明らかになった。これによりSMARCB1を追い出すほどの親和性があるか疑義が出てきたためにSMARCB1とSSX1(111-188)またはSSX2(111-188)のヌクレオソームに対する競合実験を行った。その結果、SSX1(111-188)は、SMARCB1より強くヌクレオソームに結合し、eviction modelが分子の局所的な相互作用でも成り立つことを示せた。一方で、SSX2(111-188)は、SMARCB1とほぼ同程度の結合親和性を示し、EMSAの結果と整合性のとれたものとなった。よって、SS18-SSX2では、eviction model以外の可能性も示唆される結果となった。また、DNAとの直接相互作用に関する詳細な解析を一残基置換体を使用して行った。この結果、ある残基2つがDNAとの直接相互作用に重要であることが判明した。また、前年度の結果を受けてSSX結合阻害剤による滑膜肉腫の創薬のためにインシリコスクリーニングを実施した。滑膜肉腫治療薬開発のためにSSXだけでなくクロマチンリモデリング複合体の他の成分も標的にして、発現精製したタンパク質に対して19F化合物スクリーニングを実施、ヒット化合物を得た。
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