2020 Fiscal Year Research-status Report
Spatio-temporal proteomics based on MS silencing
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20K21478
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石濱 泰 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30439244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小形 公亮 京都大学, 薬学研究科, 特定助教 (80866781)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 質量分析 / プロテオミクス / タンパク質構造 / 化学修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、標的器官や標的 1 細胞由来のプロテオームのシグナルを選択的に検出し、その時空間情報を一斉取得する手法を確立するため、標的とする局所以外にランダムな化学修飾を施すことにより質量分析(MS)によってタンパク質を検出できなくする新技術「MS サイレンシング」を開発する。本手法では他の夾雑タンパク質シグナルを完全に排除することが可能であり、従来法と比べて感度、解析深度の両面で大幅な向上が期待される。本年度は①標的タンパク質に対する反応効率、②化学修飾の標的アミノ酸の多様性を指標に、試薬ならびに反応条件の検討を行った。①タンパク質への反応効率については、化学反応後の試料の測定結果から未反応体タンパク質由来のMSシグナルを抽出し、その減衰率を指標として検討を行った。②標的アミノ酸の多様性については、同じく化学反応後の試料の測定を用い、反応生成物由来のMSシグナルから反応点を同定することで検討を行った。タンパク質消化酵素、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、Langlois試薬、アリールジアジリンを用いた反応を検討し評価した。また、用いる光源についても装置間の比較を行い、最適なものを選択、購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学反応について幅広くスクリーニングを行った結果、光反応性アリールジアジリンが最も多くの種類のアミノ酸残基と反応したため、②標的アミノ酸の多様性の観点からアリールジアジリンを選択しさらに検討を行った。①反応効率を指標に、試薬濃度、反応温度、照射光強度、光照射時間などの反応条件について詳細に検討を行った結果、標的タンパク質由来のMSシグナルを1/10以下に減衰させることが可能であった。さらに、その減衰プロファイルからタンパク質の局所環境情報を抽出することが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
最適化した反応条件を用い、より複雑な生体プロテオーム試料への本法の適用を検討する。また、試薬の細胞内へ導入条件を検討し、現在試験管内で行っている化学反応を細胞内で行うことを検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、計画していた学会等が中止もしくはオンラインとなり旅費を繰り越した。また謝金についても学生の研究室への滞在時間が制限されたため、依頼を取りやめた。物品費については、光源装置以外は手持ちのものでのやりくりが付いたため、本年度の支出を最小限に抑えることができた。次年度については繰り越し分も含めて、当初の計画通り執行する。
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Research Products
(3 results)