2022 Fiscal Year Annual Research Report
多階層オミックス解析による発達障害の発症機序の解明
Project/Area Number |
20K21479
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠井 淳司 大阪大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (40454649)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 発達障害 / 全脳 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム障害(ASD)患者の死後脳において、大脳皮質の層構造の異常が報告されている。また、ASD患者のde novo変異を再現したPOGZ変異マウスにおいても、神経細胞のⅡ/Ⅲ層付近の細胞数が減少することや、胎生期バルプロ酸(VPA)暴露マウス脳においても前頭前皮質のⅡ/Ⅲ・Ⅴ層や体性感覚皮質のⅣ-Ⅴ層の細胞密度が減少している。このように大脳皮質の層構造異常は、ヒト・マウスモデルにおいて共通して報告されているものの、詳細は不明である。そこで本課題では、神経細胞の発生時期ごとに標識しVPAが神経細胞の分布に与える影響を領域網羅的に解析した。まず、胎生期の神経細胞の全脳レベルの移動・空間配置の定量的な評価法を確立し、特定の時期に分化した神経細胞の脳内分布を解析した。その結果、胎生13.5日に分化する神経細胞では、特に体性感覚皮質内の分布に異常がみられた他、運動皮質や帯状皮質においてもコントロールマウスの脳に比べて移動が遅れている可能性が示された。細胞分布の差の程度は、脳領域毎で異なっており、胎生期の環境要因による影響は脳領域毎に極めて不均一になっていることが明らかになった。また、これらの分布異常は、胎生14.5日に分化する神経細胞ではみられなかった。これらのことから、大脳皮質構造異常を誘発する短い時間窓があることが示唆された。これらの部位および時期特性を考慮した、遺伝子発現解析から、発達障害の先制医療・新規治療法の確立に繋がることを期待する。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Presentation] Intranasal oxytocin administration suppresses social contact-induced neural activity in a POGZ-Q1038R mutant mouse model of autism spectrum disorder2022
Author(s)
Kitagawa K, Baba M, Takemoto T, Tanuma M, Hayashida M, Yamaguchi S, Ago Y, Seiriki K, Hayata-Takano A, Takuma K, Kasai A, Hashimoto H, Nakazawa T
Organizer
Neuroscience 2022
Int'l Joint Research
-