2020 Fiscal Year Research-status Report
時計遺伝子の機能不全による「がん幹細胞」発生機序の解明と抗がん剤耐性克服法の開発
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20K21484
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柳 悟 九州大学, 薬学研究院, 教授 (60330932)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 概日時計 / 時計遺伝子 / がん幹細胞 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では時計遺伝子の機能低下によって「がん幹細胞」が易発生するメカニズムを解明するとともに、低下した時計機能を回復させることで、がん幹細胞の薬剤耐性を克服する手法の開発を行うことを目的としている。時計遺伝子の機能不全マウスから調整した正常細胞にがん遺伝子(K-Ras/SV 40LT)を導入し、経日的にRNAを抽出してがん化のプロセスの中で発現が変動する因子のタイムプロファイルの作製を試みた。その結果、がん化の初期段階で発現が変動する複数の因子が存在することが明らかになった。その候補因子のひとつをshRNAを用いてノックダウンし、がん幹様細胞への形質転換が低減できるかについて検討を行ったところ、スフェロイド形成能や腫瘍塊の形成能が低下することが明らかとなった。このことから、同定した因子は時計遺伝子が機能不全に陥った細胞にがん化刺激が加わった際、幹細胞様の悪性形質転換を促す機能を有していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時計遺伝子の機能不全細胞における「がん幹細胞への形質転換誘導因子」として、有力な候補因子を見出すことができた。また、同定した因子以外にもいくつかの候補因子が存在することが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を基に、がん化した時計遺伝子の機能不全細胞の多剤耐性獲得メカニズムの解析と時計遺伝子の機能活性化による「がん幹様細胞」の多剤耐性克服法の開発を目指す。同定した因子をノックダウンした時計遺伝子の機能不全がん化細胞(がん幹様細胞)とノックダウンしてないがん幹様細胞とを比較し、細胞周期の制御に関わる遺伝子の発現パターンの差異について検討を行う。また、DNAの複製・修復、アポトーシス関連因子についても同様の検討を行い、時計遺伝子によって制御される抗がん剤感 受性の関連因子を選定する。また、時計遺伝子の機能不全細胞に選定した因子を強制的に発現(または欠損)させた場合、がん幹様細胞の抗がん剤感受性が回復できるかについても検証を行う。
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