2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K21488
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 幸裕 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30636402)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 創薬化学 / 分子設計 / ケミカルバイオロジー / 非翻訳RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトゲノムにコードされるタンパク質はわずか2%で、残りの98%は非翻訳RNA(ncRNA)に転写される。近年の研究から、各ncRNAの異常な発現や機能異常が様々な疾患に関与すると考えられるようになってきた。すなわち、ncRNAは次世代の低分子医薬品の標的として期待される。現在、RNA機能を制御する一般的な方法として、アンチセンスやRNA干渉などの遺伝学的手法が利用されているが、これらはオリゴヌクレオチドを利用するため、薬物動態や安定性、安価な供給に課題がある。一方、RNAを標的とする低分子創薬研究は未開拓な分野である。以上の背景から、本研究では、低分子化合物によってRNAを制御する新たな方法を提案する。具体的には、特定のncRNAの分解を誘導する化合物を用いたRNA制御法である。実際に、RNA分解化合物を創製し、それを用いた創薬化学研究・ケミカルバオロジー研究を展開することを目的に研究を行っている。 本年度は、昨年度に見出すことに成功した数種のRNA分解候補分子について更なる機能評価を行った。その結果、RNA分解候補分子は、RNAモデル基質だけでなく、オリゴ核酸型RNAモデル基質の分解を誘導できることがわかった。なお、これらの化合物の中で最も活性の高かった化合物はDNAモデル基質およびオリゴ核酸型DNAモデル基質を分解しないこともわかり、DNAに対してRNAに高い選択性を示すことも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設計・合成したRNA分解候補分子がRNAモデル基質だけでなく、オリゴ核酸型RNAモデル基質の分解を誘導できる化合物の創製に成功し、さらに、DNAに対してRNAに高い選択性を示すことも明らかとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、ケミカルバイオロジー研究への応用を目指す。
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Research Products
(2 results)