2021 Fiscal Year Research-status Report
感染病態を増悪させる宿主炎症関連分子を阻害するシード化合物の設計
Project/Area Number |
20K21490
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
原 英樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (30456892)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 感染 / 炎症 / インフラマソーム / 薬剤耐性菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗生物質の頻用に伴い、黄色ブドウ球菌や結核菌などの薬剤耐性化が世界的な問題となっており、感染症に対する新規治療法の立案が早急な課題となっている。ファージ療法などの菌体を標的とした方法では病原体の遺伝子変異による耐性獲得を誘発する。われわれは自然免疫応答であるインフラマソームが黄色ブドウ球菌やリステリアなどの感染病態を重症化させることを見出した。そこで本研究では、インフラマソーム応答を阻害することで感染病態を改善できないか検討を行った。 臨床分離株であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌をASCなどのインフラマソーム分子欠損マウスに感染させたところ、野生型マウスと比較して菌の生体内増殖が減少することを見出した。そこで、インフラマソーム依存的に産生されるIL-1βやIL-18を欠損するマウスに同病原体を感染させたところ、いずれにおいても臓器内菌数が低下した。一方で、ストレプトマイシン耐性リステリア感染ではIL-18欠損マウスでのみ臓器内菌数が減少し、IL-1β欠損マウスでは野生型マウスと同程度の菌数が検出された。このことから、インフラマソーム応答は黄色ブドウ球菌やリステリアなどの生体内増殖を加速させるが、病原体によって病態形成に関わるファクターが異なることが示唆された。さらにインフラマソーム応答にはASCのリン酸化が必須であることから、リン酸化部位に競合するペプチドを作成したところ、17アミノ酸から成るペプチドをマクロファージに導入することでインフラマソーム応答の阻害効果を観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染症を重症化させるインフラマソーム依存的な炎症応答を絞り込むことができた。また、ASCを標的とした合成ペプチドでインフラマソーム応答の抑制効果が観察されたことから実験は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに17アミノ酸からなるペプチドでインフラマソーム抑制活性が認められてるので、今後さらに最小活性領域の絞り込みを行う。また生体に投与できるように修飾などを施して改良をすすめていく。
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Causes of Carryover |
設計した合成ペプチドでインフラマソーム応答の抑制効果が認められたので、さらに合成ペプチドの活性部位を絞り込むことにした。費用を抑えるためにペプチドは海外で合成しており入手しだい評価実験を行う。
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Research Products
(7 results)