2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of analytical methods of cfDNA in body fluid for early cancer diagnosis
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20K21491
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
加藤 大 昭和大学, 薬学部, 教授 (30332943)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | cfDNA / 早期診断 / バイオマーカー / 粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
疾患によって生体内の存在量が変化する物質をバイオマーカーと呼び、様々な疾患に関連する多数のバイオマーカーが既に発見され、がん、呼吸器や神経系などの疾患に精密医療を提供するために、バイオマーカーの測定が医療現場で行われている。アポトーシスなどの細胞死によって、細胞内に存在したDNAは放出され、血流に乗って体内を循環し、腎臓や肝臓を通って体外に排出される。アポトーシスの過程で、DNAは約200bpの整数倍に断片化されている。このような放出されたDNAをcell-free DNA(cf DNA)と呼び、がん診断のバイオマーカーとして臨床現場で利用されている。検体中に極わずかなcf DNAが存在すれば診断できるため、検体中の標的核酸の絶対量や存在確率を増やし、それらを確実に精製し、検出することで、早期診断が実現すると考えた。 15 mLの尿にcfDNAのモデルとして選択した鎖長211bpの虫歯菌DNAを添加し、その精製効率を汎用されている市販のDNA精製キットとトリアミン修飾粒子を用いた手法で比較した。それぞれの手法で精製したDNAをPCRで増幅し、ゲル電気泳動で分離した後、蛍光検出した結果、市販のキットでは検出できない10 fg/mLのDNAの検出に成功した。 本検討では、15 mLの尿試料に30 mgの粒子を添加しDNAの精製を行ったが、尿は1日に1.5 L程度排泄されるため、cfDNAの抽出に用いる尿の試料量を100倍程度増やすことも可能である。1mLの10fg/mL cfDNA溶液には、数1000コピーのcfDNAが存在している。もし、試料量を100倍に増やし、粒子によってcfDNAを同等の効率で精製を行えば、数10コピーのcfDNAの検出が可能になると計算でき、まさに1000個程度のがん細胞が存在する極めて初期のがんの発見が可能になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の手法では検出が難しい濃度のcfDNAを尿試料から回収し、検出することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
精製法や検出法を改良しより高感度な検出法の開発に加え、粒子をナノ粒子とすることで、より微量なcfDNAの検出を可能にし、難治疾患の早期発見に貢献する手法を開発する。
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Causes of Carryover |
緊急事態宣言が発令され、予定していた実験の一部を実施することができなかった。それらの実験は令和3年度に実施する予定である。
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