2020 Fiscal Year Research-status Report
脳内環境を守るクモ膜バリアの分子基盤と生理的意義の解明に向けた萌芽的研究
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20K21509
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
古瀬 幹夫 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 教授 (90281089)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | タイトジャンクション / クモ膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
クモ膜に発現するタイトジャンクション関連タンパク質、JAMファミリータンパク質、トリセルラータイトジャンクション関連タンパク質の発現を免疫蛍光抗体法で解析し、少なくともオクルーディン、ZO-1が標識されることを確認した。その他の分子について、オクルーディンとの共局在について解析中である。一方、クモ膜のマーカーとして知られるプロスタグランジンD2合成酵素については、市販抗体の標識効率が優れず検討中であるが、文献からの新しい情報により、E-カドヘリンが蛍光抗体法によるクモ膜のよいマーカーとなることを確認した。E-カドヘリンはクモ膜の細胞の一部のみを標識しているように見えるため、今後、免疫電子顕微鏡観察による詳細な解析が必要である。さらに、超薄切片法による電子顕微鏡解析から、タイトジャンクション、ギャップジャンクションを含む細胞間接着構造がマウスのクモ膜に存在することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、担当する大学院生の自宅待機、技術支援員のテレワーク等により、実験の遅延、動物実験計画書の作成の遅延、実験動物導入の遅延が生じ、研究全体が予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きクモ膜におけるタイトジャンクション、トリセルラータイトジャンクションの構成分子の発現を明らかにするとともに、SBF-SEMを用いた解析により、クモ膜細胞の形態の全体像とこれら細胞間結合の全体構成を解明に力を入れる。クモ膜バリア破綻を目指す遺伝子組換えマウスの多重ノックアウトについては、単純な交配を繰り返す代わりにゲノム編集による遺伝子欠失を取り入れることにより、時間と使用動物数の削減をはかる。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの入手と交配の遅れによる動物実験の減少、そのためにPCR装置の買い控えたこと、国内出張が新型コロナウイルスの感染拡大のため実施できなかったことなどが使用額が予定より少なくなった理由である。全体として研究計画が遅れているため、研究期間の1年延長も視野に入れて、計画は変更せずに粛々と研究費の執行を進める。
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