2021 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチの骨破壊の病態解明と画期的な治療法の開発
Project/Area Number |
20K21515
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 紀子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (20553358)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチは炎症に伴って骨破壊が誘導される自己免疫疾患である。関節リウマチでは関節破壊だけでなく、炎症関節の近傍や全身性に骨粗鬆症がおき、骨折リスクを上げ生活の質を下げる。われわれは傍関節性骨粗鬆症に焦点をあて関節リウマチのマウスモデルを用いた解析により炎症関節近傍の骨の骨髄に存在する抗体を産生する形質細胞が破骨細胞分化誘導因子を発現することで破骨細胞を誘導し、傍関節性骨粗鬆症をひきおこすことを明らかにしている。また、様々な細胞種特異的に破骨細胞誘導因子を欠損させた新規遺伝子改変マウスの作製・活用により、関節破壊においては滑膜線維芽細胞が破骨細胞誘導因子を発現する主要な細胞であることを生体レベルで実証した。近年、国内外に研究により滑膜線維芽細胞は多様なサブセットが存在することが報告されている。われわれはシングルセル解析によりヒトおよびマウスレベルにおいて、破骨細胞誘導因子を発現する、骨破壊誘導性の滑膜線維芽細胞のサブセットを同定した。さらに破骨細胞誘導因子の発現に重要な遺伝子制御領域を同定することに成功した。当該遺伝子領域を欠損させたマウスを作製し、このマウスに関節炎を誘導すると、炎症はコントロールマウスと比較して同等であるのに対し、関節破壊は抑制されることを見出した。当該遺伝子領域に結合する転写因子も見出しており、今後さらなる研究により、骨破壊誘導性の滑膜線維芽細胞がつくられるしくみを解明し、骨破壊誘導性の滑膜線維芽細胞を標的とした新規治療法の開発に繋げていく予定である。
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