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2020 Fiscal Year Research-status Report

Study on the molecular basis that defines organ regenerative ability in an anuran amphibian (Xenopus laevis)

Research Project

Project/Area Number 20K21517
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

久保 健雄  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10201469)

Project Period (FY) 2020-07-30 – 2023-03-31
Keywordsアフリカツメガエル / 器官再生 / 未分化増殖細胞
Outline of Annual Research Achievements

動物の器官再生能は動物種やその動物の発生段階によって異なる。脊椎動物では、哺乳類は肝臓などの一部の組織が再生するに止まるものの、魚類や両生類は高い器官再生能をもつ。ツメガエルの幼生(オタマジャクシ)の尾を切断すると、約1週間で尾が再生する一方で、その成体(カエル)の肢を切断した場合には、ほとんどが軟骨から形成される、先の尖った「スパイク」と呼ばれる構造が形成されるに留まり、機能的な手掌は形成されない。本研究課題では、この理由を探るため、成体切断肢に出現する未分化な増殖(4N)細胞の遺伝子発現プロファイルを、幼生の肢または尾の再生芽の未分化増殖(4N)細胞の遺伝子発現プロファイルと比較することを企画した。前者で発現増強されている遺伝子を「再生抑制候補遺伝子」、後者で発現増強されている遺伝子を「再生促進候補因子」として同定し、遺伝子操作技術により、前者の遺伝子を発現抑制、後者の遺伝子を発現促進することで、ツメガエル成体における器官再生能の賦活化を試みること、また、そのために遺伝子操作技術の改善を目指した。
今回、肢切断後のカエル成体の切断肢の切断面から組織を採取し、細胞懸濁液を作成し、DNA含量に基づきFACSにより増殖細胞と非増殖細胞を分取した。次いでRNA-seq法を実施し、各々のトランスクリプトームを得た。さらに、増殖細胞選択的に発現する遺伝子のリストを作成し、幼生尾の再生芽の増殖細胞と比較して、成体切断肢の再生不能に関わる責任遺伝子の同定を試みた。
一方で、切断肢に出現する細胞は、それぞれが由来する組織に固有な発現プロファイルをもつため、可能であれば、切断肢の細胞の、組織毎の遺伝子プロファイルが取得できると解像度が上昇する。こうした考えから、「先進ゲノム支援」に応募したところ、幸い、今年度の研究課題として採択された。先進ゲノム支援の内容を含めた研究内容について後述する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

カエル成体の切断肢の増殖細胞で発現増強している遺伝子は「再生阻害候補因子」、発現低下している遺伝子は「再生促進候補因子」と仮定している。今回のFACSとRNA-seq解析の結果、以前の研究で同定された、幼生再生尾の増殖細胞で選択的に発現する10個の遺伝子)[Tsujioka et al., PLoS ONE (2015)]の内、il-11を含む9つの遺伝子については、成体切断肢の増殖細胞でも幼生尾の増殖細胞と同様に高発現していたが、成体切断肢の増殖細胞では幼生尾の増殖細胞に比べて、lysyl oxidase の発現が低下している傾向が見られた。哺乳類ではlysyl oxidaseはコラーゲンやエラスチンの架橋反応を担い、細胞外マトリックスの形成に重要である。このことは、カエル成体が切断肢の再生能をもたないのは細胞間マトリクスの形成不全による可能性を暗示している。
一方、昨年度、我々はゲノム編集法を用いたツメガエルにおける外来遺伝子のノックイン効率を実用化レベルまで向上させることに成功した [Kato et al., BBRC (2021)]。そこで、今後、 lysyl oxidaseなどの「再生促進候補因子」の遺伝子をカエルゲノムにノックインし、F0個体の成体の切断肢で強制発現させることにより、成体切断肢に、組織化学あるいは機能的に識別できる肢芽様構造を誘導できるか調べる予定である。
ところで、切断肢に出現する細胞は、それぞれが由来する組織に固有な発現プロファイルをもつため、可能であれば、切断肢の細胞の、組織毎の遺伝子プロファイルが取得できると解像度が上昇する。こうした考えから、「先進ゲノム支援」に応募したところ、幸い、今年度の研究課題として採択された。先進ゲノム支援の内容を含めた今後の研究方針について後述する。

Strategy for Future Research Activity

「先端ゲノム支援」に採択していただいた研究課題では、カエル成体の切断肢に出現する壬未分化な増殖細胞の、それぞれが由来する組織の遺伝子発現プロファイルを反映したプロファイルが得られるものと期待している。予想では、幼生肢の再生芽に比べて、成体の切断肢では、軟骨細胞の前駆細胞ばかりが存在していると思われる。これらの軟骨細胞を生じさせる分子細胞生物学的な要因は何か、検討する。例えば、軟骨細胞のマスターコントロール遺伝子や、軟骨細胞の分化誘導因子の遺伝子発現の変調を検討する。責任遺伝子の候補遺伝子が見つかれば、ゲノム編集技術を用いて、当該遺伝子の発現を操作し、成体肢の再生における影響を検討する。

Causes of Carryover

研究の進捗状況により昨年度の所要額が当初計画を上回りましたが、研究期間を通じての研究経費には変更はありません。宜しくお願い申し上げます。

  • Research Products

    (4 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Low-temperature incubation improves both knock-in and knock-down efficiencies by the CRISPR/Cas9 system in Xenopus laevis as revealed by quantitative analysis2021

    • Author(s)
      Sumika Kato, Taro Fukazawa, Takeo Kubo
    • Journal Title

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      Volume: 543 Pages: 50-55

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2020.11.038.Epub 2021 Jan 27.

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] ツメガエル幼生尾再生に促進的に働く免疫細胞の同定2020

    • Author(s)
      出口 桃子、深澤 太郎、久保 健雄
    • Organizer
      第91回日本動物学会大会
  • [Presentation] ツメガエル幼生尾再生に関わるIL-11受容体の機能解析2020

    • Author(s)
      鈴木 駿也、深澤 太郎、久保 健雄
    • Organizer
      第43回日本分子生物学会年会
  • [Presentation] アフリカツメガエル再生不応期の再生能低下に関わる分子機構の解析2020

    • Author(s)
      張 優希、藤倉 崇紘、深澤 太郎、久保 健雄
    • Organizer
      第43回日本分子生物学会年会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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