2020 Fiscal Year Research-status Report
BALB/cマウスにおけるTh2免疫応答の選択的誘導機構の解明
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20K21522
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡会 浩志 金沢大学, 医学系, 教授 (70415339)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫バランス / Th1/Th2 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内の免疫応答のバランスが崩れると、様々な免疫疾患が引き起こされる。特にTh1/Th2バランスは遺伝的素因と環境素因によって制御されていると考えられる。実際、Th1型マウス(C57BL/6(B6)など)とTh2型マウス(BALB/cなど)において、感染症、肝障害、アレルギー、癌の発生率などにおいて、明確な違いがあることが示されているが、詳細あるいはその全貌は明らかではない。Th2型の反応を担う細胞集団としてはTh2の他、iNKT2やILC2などが知られている。 申請者はBALB/cマウスには固有のIL-17RB依存的なiNKT2細胞分化発生機構があることを見出した(未発表)。iNKT細胞は通常αβT細胞とは異なり、胸腺分化段階でiNKT1/2/17のエフェクターメモリー様のサブセットに分化していることが知られているため、Th1/2/17免疫応答に対して即自的かつ強力な反応性を有する。基礎データとして、B6とBALB/cマウスの間では含まれるサブセットが大きく異なること(特にiNKT2あるいはその前駆細胞と考えられる集団はBALB/cにおいて明らかに多い)、またIL-25受容体であるIl17rb遺伝子を欠損させると、CD69- CD122-のiNKT2はBALB/cマウスでは欠損を認めるが、B6マウスではその影響をほとんど受けないことを見出している。 本研究では、多次元FACS、包括的1細胞遺伝子発現解析、生体内疫学解析、情報解析などを通して、1)BALB/cマウスにおけるiNKT2細胞の分化発生機構を明らかにし、2)IL-17RB欠損マウスにおけるTh2免疫応答の変化を解析し、3)横断的オミクス解析に基づく該細胞のTh2免疫応答と細胞組織のネットワークへのインパクトを明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響のため、令和2年度の採択通知の連絡が例年より遅く、研究費の配賦も10月と遅かったため、研究課題のスタートアップ自体が後ろ倒しになってしまった。また、コロナ禍は物流の滞りにも影響を及ぼしており、必要となる試薬等の消耗品や機器類の購入(特に海外輸入品)、マウスコロニーの導入と立ち上げなどにも大幅な遅延が発生した。ロックダウンや学生の登学禁止措置などによって所属する大学での講義のオンライン化対応など、教育やコロナ対策に割く時間が大幅に増え、研究活動に割ける時間も大きく制限されている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスコロニーの樹立がようやく進められている段階である。コロナ禍は続いているが、制約のある中で研究活動を再開できるようになってきているので、一歩ずつ着実に少しでも前に進めていきたい。
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Causes of Carryover |
1)コロナ禍によって本研究課題への研究費配賦が遅れたため、スタートアップ自体が後ろ倒しになった。 2)コロナ禍によって物品の手配に著しく時間がかかり、計画的な予算執行に影響を及ぼした。 3)参加を予定していた国際学会や国内学会が中止あるいはオンラインとなり、計上していた旅費を使用しなかった。 4)令和3年度はコロナ禍は続いているものの少しずつ研究が進められる状況に戻りつつあるので、当初計画に基づいた執行を心掛けたい。
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