2023 Fiscal Year Annual Research Report
BALB/cマウスにおけるTh2免疫応答の選択的誘導機構の解明
Project/Area Number |
20K21522
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡会 浩志 金沢大学, 医学系, 教授 (70415339)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | Th1/Th2 / CD1d / iNKT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近交系マウスを用いた研究において最もよく使われているのはC57BL/6とBALB/cである。C57BL/6マウスではTh1免疫応答とIFN-γの産生が支配的であるが、BALB/cはTh2の免疫応答を誘発しやすく感染症やアレルギー反応に多く見られる。BALB/cマウスのMHCクラスI遺伝子はH 2d型で、C57BL/6はH2b型である。この相違が疫学的な相違を生み出すものと考えられてきたが、抗血清や抗体の違いを区別できるものではない。本研究課題ではMHCクラスIb遺伝子に属するCD1dに着目した。CD1dにはCD1d1とCD1d2の2種類の遺伝子が存在するが、C57BL/6マウスではCD1d2遺伝子に1塩基の欠失が見られるため偽遺伝子となっている。CD1dはα-ガラクトシルセラミドなどの糖脂質抗原を提示し、iNKT細胞を拘束する。他の遺伝的背景による影響を排除するため、CD1d1のみとCD1d2のみを有するC57BL/6マウスを樹立した。さらにiNKT細胞由来iPS細胞の全能性を利用してT細胞抗原受容体α鎖がiNKT細胞のそれ(Trav11-Traj18)に遺伝子再構成を起こしたマウス(iNKTクローンマウス)と交配することにより、分化発生するiNKT細胞の相違を解析した。iNKT細胞は機能的に異なるiNKT1/2/17の3種類に分化することが知られるが、CD1d1で選択を受けたiNKT細胞がiNKT1優位であるのに対して、CD1d2で選択を受けるとiNKT2優位になることを明らかにした。iNKT細胞はエフェクターメモリー様の機能を有しており、Th1/Th2バランスにも影響することが想定されるため、BALB/cマウスでTh2優位になるのはCD1d2で選択されるiNKT細胞が存在することが影響しているものと考えられる。
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