2021 Fiscal Year Research-status Report
Regenerative capacity of intrinsic stem cells subjected to disease-causing gene mutations
Project/Area Number |
20K21526
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榎本 秀樹 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00360511)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 幹細胞 / 自己組織化 / 組織再生 / RET / Sox10 / ヒルシュスプルング病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先天疾患を誘導する病的幹細胞が原因遺伝子修復により自律的組織形成能を再獲得できるかを検証することを目的とする。疾患としては先天性の腸管神経幹細胞の異常により広範に神経欠損を起こす難治性ヒルシュスプルング病(HSCR)に焦点をあてる。このモデルマウスで一部の神経幹細胞の正常化を行い、修復神経幹細胞により腸管神経系が正常に形成されるかを解明する。 2021年度は、昨年作製した難治性HSCRモデルマウス2系統の解析・検証を進めた。系統1では、loxP配列に挟まれた優性阻害型RETcDNA(Ret S811F)とそれに続くmCherry cDNAから構成される遺伝子カセットをマウスRet遺伝子座に挿入してある。このヘテロマウスは、腸間神経系欠損を呈し、HSCRと同様の病態が起こることを確認した。このマウスとPhox2B-Creマウスを交配し、RET(S811F)cDNAを発生早期の迷走神経堤細胞で除去したところ、腸管神経欠損のフェノタイプが回避されることを確認した。また、Dhh-Creマウスにより、生後の腸管神経形成を担うシュワン細胞でRET(S811F)cDNAを除去したところ、神経欠損部においてmCherry陽性の腸管神経細胞の増加を認めた。いずれも優勢阻害型変異を除去された細胞が欠損を補償することを示唆する結果であり、解析システムの樹立ができた。 系統2では、Sox10-2A-EGFP cDNAをloxPlox22272で挟み、逆向きにSox10遺伝子座に挿入するカセットを作製した。このベクターを用いて、ES細胞においてgene targetingを行い、相同組換えESクローンを得た。しかし、1匹の高寄与率キメラしか得られず、このキメラは不妊であることが分かった。現在、ES細胞の再injectionによりキメラの数を増やすことによりファウンダー樹立を試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で最も困難が予想されたのは、解析のための生体システムの構築であったが、作製予定であった2系統のうち、1系統ではシステムが樹立された。この系統については、予定通り実験を進めることが可能であり、生物学的に意義あるデータ取得が確実に行える。 系統2ではマウスの作製で停滞している状態であるが、既に相同組換えES細胞が得られており、高い寄与率のキメラも得られることが明らかとなったので、実験量を増やすことで問題を解決できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、難治性HSCRモデルマウス(系統1)において、腸管神経発生のさまざまな段階で病態誘導遺伝子の修復を行い、腸管神経欠損のフェノタイプの改善がどこまで起こるかを解析していく。Phox2B-CreERT2マウスおよびPLP2-CreERT2を用い、それぞれ迷走神経堤およびシュワン細胞由来の腸管神経幹細胞における病態誘導遺伝子修復を行う。
|