2020 Fiscal Year Research-status Report
食物由来α-Synucleinシードの伝搬能とそのリスク要因の解析
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20K21531
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
今居 譲 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 先任准教授 (30321730)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | alpha-synuclein / Drosophila / 消化管 / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病ではα-Synuclein凝集の神経封入体(レヴィ小体)が変性部位で蓄積するが、α-Synucleinの凝集が神経回路を伝搬して広がる「プリオン病」の一種であることが明らかになってきた。α-Synucleinの凝集化の開始部位として、これまでの病理学的なエビデンスから消化管神経叢がその有力な候補として指摘され、マウスモデルで十二指腸神経叢から中枢神経にα-Synucleinの凝集の種が伝搬することが実際報告された。さらに慢性的な消化管の炎症が、パーキンソン病のリスクとなる可能性も考えらている。これらの研究背景から、本研究は、α-Synucleinシードが食物から消化管上皮を経て消化管神経叢、中枢脳へと伝搬する可能性および伝搬リスクを高める要因を探索する。 本年度は、LexA-LexAop systemにて神経系でα-Synucleinを発現するハエの作製を実施し、食道神経の軸索で発現していることを確認した。次に、消化管炎症が起こりかつ致死とならないデキストラン濃度を決定し、調製したα-Synuclein線維とともに餌から摂取させた。デキストランは、消化管に炎症を引き起こす目的で使用した。次に免疫染色するためのα-Synucleinの抗体およびアミロイド化したα-Synuclein特異的抗体の組み合わせをいくつか検討し、非特異的シグナルが少ない最適な抗体の組み合わせを決定した。これにより、1) 消化管神経でα-Synucleinが発現、2) 消化管炎症が起こった状態、3)α-Synuclein線維を餌から摂取、の3つの条件が揃ったときのみ、α-Synuclein凝集が食道神経の軸索で観察できる条件を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染拡大への対応で、研究室内への出入り、テクニカルスタッフの採用計画が滞った。その後は、ハエの作製から、α-Synuclein摂取の条件、免疫染色の条件の決定まで、着実に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
消化管炎症モデルについてはアッセイ条件がほぼ決まったので、今年度は、中枢脳への伝搬の可能性を探索する。またα-Synuclein病理がみられる遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子CHCHD2, PLA2G6, ATP13A2変異ハエと交配し、α-Synuclein凝集の増強の有無をみる。前年度、オプトジェネティクスによる神経過活動誘導にてα-Synuclein凝集伝搬を評価するハエも作製できたので、最適な光照射条件を決め評価を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19での研究活動の制限および雇用予定であった技術補佐員の採用計画が予定通り進まなかったことから、物品費、旅費、人件費・謝金の使用が進まなかった。次年度は、テクニカルスタッフの採用を進めて、研究のスピードアップを図る。
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Research Products
(6 results)