2021 Fiscal Year Research-status Report
食物由来α-Synucleinシードの伝搬能とそのリスク要因の解析
Project/Area Number |
20K21531
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
今居 譲 順天堂大学, 大学院医学研究科, 先任准教授 (30321730)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | α-Synuclein / ショウジョウバエ / パーキンソン病 / 炎症 / セロトニン神経 / 消化管 / タンパク質凝集 / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病では、α-Synucleinの凝集化と神経回路を介しての伝搬が、神経変性の病態の本体であることが疑われている。α-Synucleinの凝集化が初期に起こる部位のひとつとして、消化管神経叢が指摘されている。それを踏まえ、本研究では、ショウジョウバエをモデル動物として用い、α-Synuclein シード(凝集化の種)が食物から消化管上皮を経て消化管神経叢、中枢脳へと伝搬する可能性および伝搬リスクを高める要因を探索することを目的とした。消化管神経叢でα-Synuclein シードができる条件として、消化管のバリアを破壊する腸管炎症を想定した。 構成的に神経細胞でα-Synucleinを発現するハエを作製し、3齢幼虫のステージにてα-Synucleinシードを酵母に添加し投与した。腸管炎症条件として、デキストランを同時に投与した。その結果、デキストランとα-Synucleinシードを同時に投与した群で、消化管に投射するセロトニン神経の軸索においてα-Synucleinの凝集を確認した。 次ぎに、α-Synucleinの凝集がセロトニン神経の神経機能に及ぼす影響を評価した。ショウジョウバエの消化管に投射するセロトニン神経は、消化管の動きを制御する。神経変性が起こると、消化管の動きの低下に起因する内容物の滞留が起こる。食餌を食紅で着色し、消化物の滞留状態を評価するアッセイ系を樹立し評価した。α-Synucleinのシードとデキストランを同時に処理したときのみ、消化物の滞留状態が生じた。同様の結果は、成虫でも観察され、セロトニン神経がα-Synucleinの凝集によって障害されていることが示唆された。 一方、タウの伝搬モデルに関しては、ハエ神経でのタウの発現のみで重篤な神経障害がみられることから、中止した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度からのCOVID-19の影響を受け、技術補佐員の採用計画と本研究の開始に遅延が生じた。その後は、計画通りに研究が進んでいる。この遅延を鑑み、次年度での実施を計画し繰越申請をした。
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Strategy for Future Research Activity |
3齢幼虫セロトニン神経でのα-Synucleinシードの伝搬は免疫染色で検出され、成虫ではセロトニン神経のα-Synucleinの凝集による障害の可能性が消化物の滞留にて示唆された。今後、成虫においてシードの伝搬を定量的に検出する方法を検討する。また、セロトニン神経の活動の障害を直接評価する方法として、Ca2+イメージングをGCaMPにて検討する。これらが樹立された後、病理解析でα-Synucleinの凝集化がみられるパーキンソン病原因遺伝子、危険遺伝子変異を導入し、α-Synucleinの凝集化が促進されるかを確認する。その後、本アッセイ系は、凝集化を阻害する遺伝子、化合物の評価系として利用することを想定している。
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Causes of Carryover |
前年度からのCOVID-19の影響を受け、技術補佐員の採用計画と本研究の開始に遅延が生じた。その結果、人件費に解離が生じた。次年度繰り越し分は、計画を継続するための技術補佐員の人件費と物品費にあてる。
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Remarks |
Mechanism of α-Synuclein aggregation by the disturbance of biomembrane remodelling. “LIFS Seminar Series”, at Devision of Life Science, Hong Kong University of Science and Technology, Mar. 2021
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] UQCRC1 engages cytochrome c for neuronal apoptotic cell death2021
Author(s)
Hung Yu-Chien、Huang Kuan-Lin、Chen Po-Lin、Li Jeng-Lin、Lu Serena Huei-An、Chang Jui-Chih、Lin Han-Yi、Lo Wen-Chun、Huang Shu-Yi、Lee Tai-Ting、Lin Tai-Yi、Imai Yuzuru、Hattori Nobutaka、Liu Chin-San、Tsai Su-Yi、Chen Chun-Hong、Lin Chin-Hsien、Chan Chih-Chiang
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 36
Pages: 109729~109729
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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