2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms for induction and regulation of memory B cell subsets exhibiting distinct recall responses
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20K21533
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 大介 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 教授 (70204914)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 記憶B細胞 / リコール応答 / 形質細胞 / 胚中心B細胞 / 自己免疫疾患 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウィルス等の抗原が体内に侵入すると、B細胞はそれに対する抗体を産生するとともに、記憶B細胞に分化し永く生存する。再び侵入した同じ抗原に出会うと、記憶B細胞は増殖した後形質細胞に分化して抗体を産生するか、胚中心B細胞に分化し記憶B細胞を再生する。この2種類のリコール応答は、それぞれ、CD80-high細胞とCD80-low細胞という異なる記憶B細胞サブセットに主に担われている。私たちは、この2つのサブセットへの分化運命は初回の免疫応答においてB細胞が受けるCD40シグナルの量により強く影響されることを見出した。すなわち、より抗原親和性の高いB細胞は優位な抗原提示を介してT細胞からより強いCD40刺激を受け、CD80-high 記憶B細胞へと分化する。一方、抗原親和性の低いB細胞は比較的低いCD40シグナルを受けてCD80-low細胞へと分化する。本研究では、このCD40刺激の量的違いにより生みだされ、2つの異なる記憶B細胞サブセットの形質維持を担う細胞内分子機構を解明し、それを制御することにより記憶B細胞のリコール応答を制御し得る方法を見出すことを目的とする。それにより、B細胞の抗原親和性に拘わらず、任意の記憶B細胞サブセットを優位に誘導できる免疫方法を見出し、新たなワクチンの開発が可能となる。また、自己抗体が主な病因である自己免疫疾患において、交差反応により常在細菌に感作されたB細胞が自己反応性記憶B細胞となり、自己抗体の産生源となる可能性が示されているが、このような記憶B細胞形成を制御することにも応用が可能と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
私たちの研究により、CD40Lの発現量の異なるフィーダー細胞(40LB-hi, 40LB-lo)の上で培養して得た胚中心様B細胞(iGB細胞)をマウスに移入すると、それぞれCD80-highあるいはCD80-low 記憶B細胞に分化することが分かっている。これを基に、40LB-hi, 40LB-lo上で24時間培養したB細胞における遺伝子発現をRNA-seqにより、また、オープンクロマチン領域をATAC-seqにより網羅的に解析する予定であったが、誘導したB細胞集団の不均質性のためか、これまでに再現性のある両者間での明瞭な差異が見出されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
脾臓B細胞から辺縁帯B細胞や記憶B細胞・胚中心B細胞を除き、ナイーブな濾胞B細胞を純化して40LB-hiあるいは 40LB-lo上で培養し、それらB細胞を、in vivoでのCD80-highあるいはCD80-low 記憶B細胞への分化を確認した上で、RNA-seq、ATAC-seqに供する。さらには、40LB-hiあるいは 40LB-lo上で培養した各B細胞のシングルセルRNA-seqを行い、両者に特徴的に誘導されたB細胞サブセット(記憶B前駆細胞)を同定する。 また、以前に報告した、強いCD40刺激により発現上昇し、強制発現によってCD80-high 記憶B細胞への分化を誘導する転写因子BATFに焦点をあてて研究を進める。BATFと会合して遺伝子に作用する因子を同定し、それらが制御する遺伝子をChIP-seq等により特定する。
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Causes of Carryover |
研究の初期段階の進捗が遅れたため、その後の研究計画が遂行できず、物品費の未使用分が生じた。また、新型コロナ流行下で学会・シンポジウム等がすべてオンラインで開催されたため、旅費を消化できなかった。これらは次年度に計画した研究および成果発表に使用する。
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Research Products
(4 results)