2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子領域間に引き起こされる転写共役型染色体転座経路の解明
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20K21536
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柴田 淳史 群馬大学, 未来先端研究機構, 准教授 (30707633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 基弘 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (60437910)
安原 崇哲 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90757056)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | DNA切断 / 染色体転座 / 発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
発がんに大きく関わる染色体転座は、DNA二本鎖切断(DSB: DNA double strand break)の修復エラーにより生じる。しかしながら、発がんに繋がる遺伝子領域間での染色体転座がどのような過程で生じるかは未だ多くが明らかになっていない。申請者は、DSB修復の際のRloop解消異常が染色体転座に関わることを示唆するデータを得ている(Yasuhara et al. &Shibata*, Cell, 2018)。しかしながら、転写共役型DSB修復と遺伝子領域間転座を繋ぐ分子メカニズムの解明までには至っていない。そこで本研究課題では、任意の場所とタイミングでDSBを人為的に誘導するヒト培養細胞実験系を確立し、転写活性を有する遺伝子間における染色体転座アッセイ系を構築することで、染色体転座を引き起こす分子機構解明に迫る。また本研究のもう一つの挑戦として、ヒト体細胞の大半を占めるにも関わらず、これまで解析が困難であったヒト静止期G0/G1期細胞を研究対象とする。今年度はタモキシフェン誘導体4OHTにて制限酵素AsiSIが核内に誘導されるシステムを、網膜色素上皮細胞(RPE細胞:Retinal Pigment Epithelium)において構築し、またDSB発生を停止させるためのAIDタグ法を組み合わせた実験系を確立した。RPE細胞は接触阻害法によりG0/G1期に同調することができ、G0/G1期に4OHTを処理することでDSBを誘導することに成功した。これらのアッセイ系を用いて染色体転座アッセイ系の構築を中心に行い、染色体転座が起こりやすいDSB部位の組み合わせの同定を試みている。またDSB修復に関わる因子のノックダウンを行い、どの転座領域でどのようなDNA修復因子が関わるかを明らかにしようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、培養細胞に部位特異的制限酵素誘導系を作製し、AsiSI切断部位間の染色体転座の有無の検討を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
染色体転座が検出される部位において、DNA修復因子のノックダウンを行い、その分子機構解明を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により学会参加に伴う旅費がキャンセルとなった。また緊急事態宣言に伴い一時的に実験が停滞し、物品費などに繰り越しが生じた。
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