2021 Fiscal Year Research-status Report
人工微小環境アレイを用いた新規フェノミクスの創出とがん幹細胞層別化療法の開発
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20K21540
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
椨 康一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (10466469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田賀 哲也 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40192629)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 合成ポリマー / フェノミクス / ポリマー嗜好性 / 微小環境適合性 / polymerome / ポリメローム / 膠芽腫 / テモゾロミド |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度マウス肉腫様細胞株を用いて生きた細胞の網羅的なポリマー嗜好性(人工微小環境適合性)を数値化し、新規フェノミクス階層「polymerome(ポリメローム)」を創設した。今年度はこの新規オミクス階層の患者細胞、および異なる癌腫への適応可能性を検証するため、3つの膠芽腫初発患者由来細胞株(KBT#12137, KBT#10135, KBT#10170)、および2つの再発患者由来細胞株(PDM19, PDM22)(一部共同研究者により樹立)のトランスクリプトームおよびポリメロームデータを取得し、比較解析した。トランスクリプトームに基づく既存の膠芽腫サブタイプ分類を行ったところ、KBT#12137, KBT#10135, PDM19とKBT#10170, PDM22の2群に分類された。一方、ポリメロームのPCAおよびt-SNE解析による次元圧縮を行ったところ、KBT#10170, PDM19, PDM22の3株のみが類似のポリメロームを呈し、一つのクラスターを形成することが分かった。そこで各細胞株におけるグリオーマの第一選択薬テモゾロミド(TMZ)の相対IC50値を測定したところ、同一クラスターに位置した上記3株が他と比較してTMZに高い耐性を示し、総じて弱いポリマー嗜好性を示す細胞株がTMZに耐性の高いことが明らかとなった。これらの結果は独自に確立したポリメローム階層が患者細胞および複数の癌腫において従来のトランスクリプトームでは判断することの難しかった臨床的意義の高い細胞特性(すなわちがん幹細胞性)を層別化し得る可能性を示唆しており、患者間の異なる治療感受性や再発リスク、予後等の予測診断法開発へ繋がる極めて重要な成果と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる癌腫における患者由来細胞を用いて、新規フェノミクス階層polymeromeの有用性にPOCを取得するという当初の目標を達成し、今後ヒットポリマーを原材料とする診断パネルの作製に移行できる状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新規フェノミクス階層polymeromeの有用性をさらに検証するため、浸潤・術中診断回避・薬剤耐性・放射線耐性など各種がん幹細胞性に特異的な鍵要素(ヒットポリマー)を抽出し、診断用パネルを設計・作製する。共同研究者により樹立済みの未解析の膠芽腫患者由来細胞株を用いて、各種がん幹細胞性の予測をブラインドで試験する。診断精度の向上を目指して新規のポリマー分子群をさらに合成し、オミクスとしての階層規模(網羅性)の拡張を図る。
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Causes of Carryover |
2021年度に術後患者由来がん幹細胞株を追加で用いた解析を実施予定であったが、継代困難な検体が多く、未使用額が発生した。2022年度に引き続き培養用サイトカイン等の購入費に充てることとしたい。
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Research Products
(9 results)