2022 Fiscal Year Annual Research Report
人工微小環境アレイを用いた新規フェノミクスの創出とがん幹細胞層別化療法の開発
Project/Area Number |
20K21540
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
椨 康一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (10466469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田賀 哲也 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40192629)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 合成ポリマー / 人工微小環境 / ポリマー嗜好性 / 微小環境適合性 / フェノミクス / polymerome / がん幹細胞 / 層別化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに確立した新たなフェノミクス階層polymerome(ポリメローム)に基づく診断パネルの実用性を検証するため、膠芽腫患者由来細胞(PDC)株のポリメロームデータからTMZ適応患者の層別化に有用と考えられる5つのアクリル系ヒットポリマー、および5つのコントロールポリマーを抽出した。本パネルのTMZ感受性予測診断ツールとしてのPOCを検証するため、膠芽腫初発患者より新たなPDC株の樹立を試みたが、今年度安定して継代可能な癌幹細胞株を得ることはできなかった。そこでポリマーのライブラリ規模拡大に目標を切り替え、異なる2種類のアクリル系モノマーを原料に、約300種類のポリマー群について合成条件を独自に最適化した(共同研究者による)。合成したポリマー群はアレイピンを用いたコンタクトプリンティング法によりガラススライド上にスポットし、細胞接着性の高い約200種類を特定した。 研究期間全体を通じて、導入する変異遺伝子と細胞起源によって細胞が特徴的なポリマー嗜好性を示すことが明らかとなった。このような生きたがん細胞の網羅的な微小環境適合性を新規のオミクス階層「polymerome(ポリメローム)」と命名した。この新しいオミクス概念を用いることで、患者細胞および複数の癌腫において、従来のトランスクリプトーム階層では判断することの難しい臨床的意義の高い細胞(すなわちがん幹細胞)の特性を層別化できた。以上の結果は従来のオミクス体系そしてがん精密医療の方向性を大きく変革・転換させる極めて重要な成果であり、今後、治療感受性・再発リスク・予後予測などのがん幹細胞層別化法の実用化へ向けて重要な推進基盤となる。
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Research Products
(11 results)