2021 Fiscal Year Annual Research Report
染色体融合可視化システムで挑む上皮性腫瘍の高頻度発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K21545
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 眞理 京都大学, 医学研究科, 客員准教授 (90761099)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / がん / 染色体融合 / 有糸分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では,なぜヒト上皮細胞が他の細胞種と比較してがん化しやすいのかという科学的「問い」に、独自に開発した萌芽期の新たなアプローチ「染色体融合可視化システム:FuVis (Fusion Visualization system)」で挑戦し、細胞のがん化頻度に関する新たな仮説の立証を目指している。特に、細胞の種類によって染色体融合の運命が異なるという仮説を立て,異なる細胞種間、特に上皮細胞と間葉細胞において、染色体融合が、細胞の運命にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とした研究を展開する。 初年度の結果を受けて計画を微調整し,FuVisとして構築した上皮細胞由来のヒト結腸腺がんHCT116を応用した.HCT116細胞において,炎症性サイトカインであるIL-1bやTNF-aによって上皮細胞から間葉細胞への変化(上皮間葉転換:EMT)を引き起こせることを確認した.さらに,EMT下で活性化されるプロモーターの下流に赤色蛍光タンパク質を配置したレポーター遺伝子を導入したFuVis細胞において,IL-1b及びTNF-aによる刺激で,赤色タンパク質が発現することを確認した.この細胞を用いて,EMT前後の細胞において,単一の姉妹染色分体融合を誘導し,その運命を動画によって解析した.その結果,①EMT後の細胞では,染色体融合の有無に関わらず,有糸分裂期(M期)が遅延すること,及び②EMT後の細胞では,姉妹染色分体融合を持つ細胞でのみ,M期遅延後に細胞死が引き起こされること,が明らかとなった.
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