2020 Fiscal Year Research-status Report
疲弊化T細胞のシングルセルオミックス解析とリプグラミングによるT細胞疲弊の克服
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20K21548
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西澤 正俊 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 共同研究講座准教授 (80789793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一戸 辰夫 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (80314219)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | がん免疫細胞療法 / TCR-T療法 / Platinum TALEN / 遺伝子改変T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、Ⅰ. がん治療用T細胞の遺伝子改変の基盤技術の確立、ならびにⅡ. がん治療用T細胞製剤のゲノム・エピゲノム解析の基盤技術の確立に取り組んだ。 まずⅠ. がん治療用T細胞の遺伝子改変基盤技術の作成に関して、我々は、まずT細胞のセルラインならびに、プライマリーT細胞を用いて、電気穿孔法を用いて遺伝子導入、また任意の部位を人工ヌクレアーゼであるTALENを用いて切断する実験系を構築した。複数遺伝子の改変・導入にむけ、複数の遺伝子を1回の遺伝子導入にて改変する技術、またシークエンシャルに2回にわけて遺伝子導入を行う方法を確立した。これらの技術の確立よりプライマリーT細胞の複数遺伝子を改変することが可能となり、非常に大きな技術面での進歩であった。 Ⅱ. がん治療用T細胞のゲノム・エピゲノム解析の基盤技術の作成に関しては、シングルセル解析技術の作成に取り組んだ。シングルセル解析としては、Flow cytometer (ARIA2, Becton, Dickinson and Company)にてシングルセルソートを行い、expansionした後解析する手法を採用した。シングルセル化した後約1週間IL2存在下で拡大培養を行い、DNAを抽出した。特定部位に関して、アンプリコンシーケンス法にてPCRにて特定部位を増幅した後、上記を次世代シーケンサー(MiSeq, illumina社)を用いて解析を行った。今後確立した手法を用いてさらにゲノム・エピゲノム解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の全国的な流行により、大阪の共同研究先との往来が困難となるなど当初は研究の進展が困難な時期もあったが、本研究の基盤となるプライマリーT細胞の複数遺伝子の改変技術を確立し、またがん治療用T細胞のシングルセル解析の基盤技術を確立するなど研究は予想通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに高効率に遺伝子導入・遺伝子改変を行うことができる実験系を確立するとともに遺伝子改変したT細胞のゲノム健全性の評価、また機能性の評価を行う。また臨床応用に向け、作成した遺伝子改変T細胞をラージスケールにて作成する技術の創出を開始していく。がん治療用T細胞の網羅的遺伝子解析に関しては、作成された技術を用いて作成されたT細胞の網羅的遺伝子解析を行い、さらなる遺伝子改変の標的因子の同定、遺伝子改変T細胞の質的な評価を行い、さらに高活性でかつ安全性の高いがん治療用のT細胞の作成を目指す。
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Causes of Carryover |
2020年は細胞を用いた実験を中心に行い、次世代シーケンサを使用した実験を2021年度に行うことにしたため予算の繰越しが生じた。 2021年度は次世代シーケンサを中心とした解析を予定している。
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