2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of in vivo kinetics of leukemia cell differentiation and proliferation in blast crisis
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20K21552
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
戸村 道夫 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (30314321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守屋 大樹 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (30759759)
楠本 豊 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (40252689)
岩崎 正幸 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70790913)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / 急性転化 / 白血病幹細胞 / 細胞動態 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は、急性転化後の白血病幹細胞および白血病細胞の全身レベルでの分化・動態・細胞周期情報を取得し、取得した情報をもとに細胞を分画し、分画間の分子発現情報比較から急性転化後の白血病幹細胞の性状を明らかにし、さらに新規の治療標的分子を見出すことを目的としている。 令和2年度は、急性転化後の白血病幹細胞および白血病細胞の全身レベルでの動態・細胞周期情報を取得できる急性転化モデルマウスを作成し、白血病細胞の細胞動態と細胞周期解析を開始した。生体内細胞動態を解析できるKikGRマウス、細胞周期を可視化できるFucci-Tgマウス、およびKikGR/Fucciマウスの骨髄c-kit+細胞に、ヒトCML原因遺伝子のBCR-ABL(BA)とAMLへの急性転化に関わるNUP98-HOXA9(NH)の両遺伝子、あるいはNHを単独で導入し不死化c-kit+細胞を得た。これら細胞を放射線照射したマウスに移入後、末梢血中の白血病細胞の頻度をモニターし、発症は骨髄細胞のスメア標本で確認した。発症確認後、採取した骨髄細胞(一次骨髄)を放射線照射したマウスに移入し白血病の発症を確認して骨髄(二次骨髄)を取得した。 現在までに、KikGRおよびFucci発現のBA/NH遺伝子導入の急性転化、ならびにNH単独発現の慢性白血病モデルを作成した。 発症した白血病マウスの細胞を抗体染色し、報告されているマーカーによる幹細胞含有画分と蛍光シグナルを同時検出できるフローサイトメトリー染色パネルを作成し、解析を開始した。KikGR発現白血病モデルマウスの骨髄に光照射し、白血病細胞のマーキングと他臓器への移動を追跡できる評価系を確立した。 白血病幹細胞の長期滞在ニッチの可視化検出を試みるために、長期接触細胞をマークできる分割GFPのGRAPHICシステムのアクセプターGFPマウスと、ドナーGFPマウスを導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、KikGRおよびFucci発現のBA/NH遺伝子導入の急性転化、ならびにNH単独発現の慢性白血病モデルを作成することができた。さらに、Fucci発現白血病モデルを用いた全身レベルでの白血病細胞の分化段階と関連した細胞周期解析を開始しているとともに、KikGR発現白血病モデルを用いた全身レベルでの白血病幹細胞および白血病細胞の動態解明も開始することが出来ている。さらに急性転化後の白血病幹細胞の候補分子を見出し、現在、半固形培地のコロニーアッセイにて同定を進めている。以下に述べる当初予期していなかったことが明らかとなったが解決可能であり、当研究は概ね順調に進んでいると言える。 BAの単独導入白血病モデルの確立について、BA/NHおよびNH導入c-kit+細胞と異なりBAの単独導入c-kit+細胞はコロニーが得られないことから、BAの単独導入c-kit+細胞は、コロニー形成せずに放射線照射したマウスに移入する方法で検討を開始している。 白血病幹細胞の長期滞在ニッチの可視化検出を試みる、分割GFPのGRAPHICシステムのアクセプターGFPマウスは、妊娠出産率が低いために、個体数の確保に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、前年度に作成したKikGRあるいはFucci発現のBA/NH遺伝子導入の急性転化モデルを中心に用い、最初に急性転化後の白血病幹細胞および白血病細胞の全身レベルでの分化・動態・細胞周期情報を取得する。具体的には、KikGR発現白血病マウスの大腿骨に紫光を照射し、骨髄細胞をマークする。24, 72時間に「骨髄に留まっている」、「骨髄に来た」、「骨髄から他の臓器に移動した」、「各組織に元々いた」細胞を区別し、各々について各種表面抗原の発現で分画し、各分画の細胞動態を明らかにする。同様にFucci発現白血病モデルでも各分画の細胞周期を解析する。 報告されている、および現在、新しく見出している幹細胞マーカー候補分子で分画した細胞について、上記と同様に解析し、幹細胞含有画分の全身レベルの挙動を明らかにする。さらにこれら幹細胞含有画分を分取し、二次移植による白血病再構築で急性転化期の白血病幹細胞分画を同定する。そして、バルクおよび単細胞レベルで網羅的遺伝子発現解析し、急性転化期の白血病幹細胞分画の性状解明とLSCの維持に必須な経路およびその制御に関与する因子の同定を目指す。 前年度に作成したKikGR発現急性転化後白血病幹細胞濃縮BMに、venus/Akalucをレトロウイルスベクターで導入し、KikGR/venus/Akaluc骨髄細胞を得る。ごく少数のこの細胞を放射線照射したマウスの骨髄内に移入後、生物発光イメージングで経時的に検出し、発症過程における白血病細胞の全身での局在変化を明らかにする。 分割GFPのGRAPHICシステムのドナーGFP発現マウス由来の骨髄c-kit+細胞にBA/NH遺伝子を導入し、放射線照射したアクセプターGFPマウスに移入し、アクセプターGFPマウスに形成されるGFP陽性細胞を検出することで、白血病細胞の長期滞在ニッチ構成細胞の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
従来、慢性骨髄性白血病マウスモデルでは、白血病発症までの期間が長く、特に当研究の中心をなす、慢性白血病の急性転化モデルでは、急性転化までの時間がかかることから、次年度使用額が生じた。現在、当該マウスが獲られており、平成3年度には、遺伝子発現解析など多くの支出を要すことから、計画通り助成金を執行する見通しである。
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