2020 Fiscal Year Research-status Report
アクアポリン4制御薬による新規正常圧水頭症治療法の開発
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20K21568
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
五十嵐 博中 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20231128)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 水頭症 / アクアポリン4 / MRI / 治療 / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
TGN-073の水頭症モデルマウスに対する神経徴候および脳組織障害改善効果を検証するため、マウスの脳槽からカオリンを注入することにより、水頭症を惹起した。次いで、水頭症の惹起前後の30分に、濃度が200mg/kgとなるようにTGN-073を溶解した生理食塩水0.2mLを腹腔内投与した。さらに、TGN-073を72時間皮下に埋め込んだ浸透圧ポンプで持続投与した。対照群は、同量の生理食塩水(Saline)を同様のプロトコルで投与した。72時間後に以下の評価基準に従った神経スコアにより神経徴候を評価したところ、TGN-073投与群では、Saline投与群と比較して、神経徴候が軽減された(p<0.05、Mann-Whitney U Test)。次いで、前臨床高磁場磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging;MRI)を用いて、脳室及び脳浮腫領域体積、皮質の脳血流量、白質の脳浮腫、並びに神経細胞密度を測定した。TGN-073投与群では、Saline投与群と比較して、脳室及び脳浮腫領域体積の縮小が認められた(p<0.01、T検定)。更にSaline投与群と比較して、皮質の脳血流低下の改善(p<0.05、T検定)が認められるとともに、TGN-073投与群では神経細胞密度の低下が抑制されていた(p<0.001、T検定)。これらのことから、TGN-073を全身投与することにより、脳内の水動態を制御し、水頭症を改善できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「水頭症の病態にはAQP4の機能低下が関与しており、AQP4の機能を促進させることによ り脳病態、しいては神経機能を改善させることができる」という当初の作業仮説を証明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は異なる薬剤投与量での実験を行うとともに、病理所見等の対比を行い、「脳のアストロサイトに豊富に存在し、脳内の水動態のコントロールに大きな影響を及ぼすと考えられる水チャンネル・アクアポリン4(AQP4)が特発性正常圧水頭症(iNPH)病態に及ぼす影響を解明し、新規無侵襲診断法および我々が独自に開発したAQP4制御剤による全く新規な正常圧水頭症の治療法の確立を目指す。」という目的に沿い研究を進める。
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Causes of Carryover |
購入予定の試薬の製品化遅延の為
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