2022 Fiscal Year Annual Research Report
がん悪液質における中枢機能障害の画像科学による病態機能解明
Project/Area Number |
20K21571
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (20209399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 千恵 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (20637285)
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80422749) [Withdrawn]
中村 和正 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20284507)
志田 拓顕 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (40857322) [Withdrawn]
八木 達也 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (70719575)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | がん悪液質 / IL-6 / 脳 / PET / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん悪液質と中枢神経機能変化の関連性について検討することを目的とし、がん悪液質における中枢神経症状発症の病態理解が進むとともに、治療方針にも有益な情報を与え、新しい研究領域の勃興とその拡大を期するものである。 がん悪液質では循環血中に放出されるIL-6などの炎症性サイトカインが関係すると言われ、中枢神経症状を併発することも多い。この際、血液脳関門(BBB)を破たんさせ、本来脳移行しにくい生体内物質や薬物の脳への分布が亢進するといわれており、これによる中枢神経症状発症の予測と対応が重要となっている。しかしながら現状、がん悪液質の病態時におけるBBB透過性の変化、中枢神経系の循環代謝状態、中枢神経機能等を定量的に評価した報告はない。 令和2年度は、がん悪液質モデルラット作成について検討し、種々問題点を克服して、70%程度の確率でがん悪液質モデルラットを作成することが可能であることが確認された。令和3年度はがん悪液質モデルマウス作成について検討し、雄性BALB/cマウスにCT26細胞を皮下移植したところ、サンプル量の不足から精度が良くないと考えられたが、増加傾向が認められ、マウスモデル作成の可能性が示された。 令和4年度は、ラット肝がん細胞AH-130を腹腔内に移植したがん悪液質モデルラットを用いてインビボ評価を実施した。[18F]FDG-PETにより測定した脳糖代謝率は、移植前と比べ移植3、7日後で低下する傾向が認められた。BBB透過性の指標である[11C]AIBの脳移行性は移植14日後まで有意な差は認められなかった一方で、蛍光定量により測定したエバンスブルーの脳実質への漏出率は、移植14日後においてのみ上昇する傾向が認められた。さらに、がん悪液質モデルラットでは麻酔薬の効果が強くみられる傾向にあり、がん悪液質病態が脳機能もしくは薬物動態に影響する可能性が示された。
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