2020 Fiscal Year Research-status Report
梗塞後心筋組織に浸潤する新規骨髄由来炎症関連細胞の同定と細胞機能の解明
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20K21575
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤尾 慈 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (20359839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾花 理徳 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (50745883)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 心筋炎症 / 心筋梗塞 / 心筋リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓組織が心筋梗塞などにより傷害を受けると炎症が惹起され、骨髄由来の細胞が心筋組織に浸潤して、炎症は極期に達するが、その後炎症の終息とともに傷害を受けた組織は修復する。従来、梗塞後心筋組織に浸潤する炎症細胞として、好中球と単球/マクロファージを中心に梗塞後の炎症に関する研究は進められてきたが、これまでの知見だけからでは、梗塞後心筋組織において、発症から終息にいたる一連の炎症反応がどのように制御されているか十分には説明できない。 申請者は、梗塞後心筋組織に浸潤した骨髄由来細胞を解析し、好中球にも単球/マクロファージにも属さない新規の細胞集団を見出した。この細胞集団の梗塞後組織修復における意義を検討するため、マウスの冠動脈を結紮し心筋梗塞を作製後、この細胞集団が分泌するサイトカインに対する阻害抗体を投与した。その結果、当該阻害抗体は、コントロール抗体と比して、機能的にも、組織学的にも梗塞後の修復を改善させた。また、脾臓摘出実験から、この細胞集団は脾臓に蓄えられており梗塞に反応して心筋組織に誘導されるのではなく、骨髄から直接梗塞心筋組織に誘導されることか明らかになった。 梗塞後心筋組織における炎症反応は、心筋組織の修復を制御する重要なプロセスである。不完全な心筋組織修復は、心機能の低下、すなわち、心不全の発症につながる。本研究の成果は、梗塞後の心不全発症を予防する新たな治療法の開発につながる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究に関しては研究は、遺伝子改変動物の作製を含めおおむね順調に進んでいる。しかしながら、臨床検体を用いた解析に介しては、COVID-19の影響で医療現場が混乱しており、開始の見込みが立っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の新規細胞集団が産生するサイトカインはTGF-b3であり、当該細胞集団はLRRC32を発現している。すでに骨髄由来細胞特異的なLRRC32ノックアウトマウス、TGF-b3ノックアウトマウスを用意しており、これらマウスを用いて心筋梗塞を作製し、心筋リモデリングに対する影響を検討する。 また、LRRC32陽性骨髄由来細胞を単離し、RNA seq解析によりその発現遺伝子プロフィールを解析、当該細胞集団の性質を分子レベルで解明する。
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Causes of Carryover |
マウスの交配が予想以上に順調にすすんだため、繰越がなされた。次年度は、2020年度作製した遺伝子改変マウスを用いて、その表現型解析を行う。また、当該細胞集団を調整し、発現遺伝子を解析、その集団の特性を解明する。
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Research Products
(7 results)