2020 Fiscal Year Research-status Report
スフェロイド・デザイニングによる原腸由来臓器作成技術の開発
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20K21597
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | スフェロイド / iPS細胞 / 腸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初研究計画に従い「iPS細胞由来腸スフェロイドの高効率作成法の開発」及び「iPS細胞由来腸スフェロイドの融合・分化能の解析」について研究を実施した。その結果、以下の様な成果を得ている。 1)ヒト iPS細胞由来の胚体内胚葉 (Definitive Endoderm)への分化誘導について条件検討を行った。この結果、ActivinA等の分化誘導因子を一定期間用いることにより、複数のiPS細胞株に於いて内胚葉特異的遺伝子の発現上昇が確認された。これに基づき、以後の分化誘導については同検証において設定した条件に基づき初期分化誘導を行う方針とした。2) ヒト内胚葉への分化方向づけを行った以降、Wnt等の複数の細胞内シグナル系を賦活・阻害する条件において、特に原腸における前後方向の運命決定に明確な差異が生じ、前後方向の部位特異的な遺伝子発現を誘導可能であることが確認された。3) 前記において最適化した条件の条件の下で分化誘導を進め、古典的な手法で3次元スフェロイド化をすることが可能であったが、形成されるスフェロイドのサイズは不均一かつサイズの制御が極めて困難であった。しかしながら、分化誘導を継続することにより、一定の腸上皮形質を誘導可能であることを、複数のiPS細胞系統を用いて確認した。 以上の結果より、ヒトiPS細胞より、胚体内胚葉 (Definitive Endoderm)を経て原腸由来の複数臓器への分化誘導を行うため、その基盤となる知見・手法の検証を終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画におけるiPS細胞由来腸スフェロイドの高効率作成法、及び潜在的な分化誘導能の検証を終了しており、当初計画に沿って概ね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度計画は概ね順調に推移していることから、当初計画に沿い、次年度以降は上記にて取得したデータ等用いて「iPS細胞由来腸スフェロイドの融合・分化能の解析」及び「生体内移植による前腸スフェロイド由来臓器の特異的機能獲得の検証」を行う計画である。
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Causes of Carryover |
当初計画に対し、試薬等の消耗品が安価で購入可能となり、かつ十分量入手可能であったため、次年度使用額が生じた。翌年度請求分と併せ、解析対象となる細胞系統を複数化する等、十分な裏付けを伴う成果が得られるよう、研究規模を拡充し次年度計画を実施する。
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Research Products
(2 results)