2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K21601
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊島 文子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (40397576)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚 / 老化 / メカノセンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、皮膚のかたさが表皮幹細胞の動態におよぼす影響を解明し、加齢に伴う皮膚の変化との関連を解析することを目的とした。昨年度は、加齢による真皮の硬化が表皮基底細胞でのメカノセンサーPiezo1の持続的活性化を誘導し、カルシウムが持続的に流入することによって、基底細胞の分化やヘミデスモソームの脆弱化が起こることを示した。 本年度は、真皮のかたさと血管の関連解析、ならびに加齢に伴う真皮硬化を誘導する分子の探索を行った。まず、老化マウスの足底部の皮膚では、体表血管が減少しコラーゲン繊維も脆弱化していることが分った。そこでK14-VEGFマウスを用いて体表血管を人為的に増やしたところ、このマウスでは老化しても体表血管は維持されるとともに、コラーゲン繊維も若齢マウスと同レベルに発達し、真皮の硬化も抑制され、表皮基底細胞の老化表現型(COL17の減少、分裂軸異常)も緩和された。次に、血管内皮細胞特異的VEGFR2 cKO マウスを用いて血管新生を阻害したところ、若齢マウスにおいてコラーゲン繊維が脆弱化し、真皮の硬化と表皮基底細胞の老化表現型が誘導された。従って、体表血管の減少により皮膚の老化が誘導されることが示された。 次に、真皮線維芽細胞のscRNA解析から、老化に伴って割合の増加する線維芽細胞クラスターを同定した。この老化クラスターに高く発現する分泌因子を探索した結果、血管新生阻害効果のある分泌タンパク質を同定した。この分泌タンパク質をKOしたマウスでは、老化にともなう体表血管の減少やコラーゲン繊維の脆弱化、表皮基底細胞の老化表現型が緩和された。また、ヒト皮膚サンプルにおいて、老化皮膚ではこの分泌タンパク質の沈着が認められた。
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